3.太陽系外( 系外)惑星 の分類

 これまでに発見された系外惑星は次のようなタイプに分類されています。

  1. 熱い木星型(ホットジュピター /Hot Jupiter)
  2. 楕円軌道型惑星
  3. 木星(類似)型惑星
  4. 巨大地球型惑星(Super Earth)
  5. 地球型惑星

  

1.熱い木星型( Hot Jupiter)

 最初に発見されたペガスス座51番星の惑星をはじめ発見されている多くの系外惑星が、このタイプに分類されます。
  これは木星と同じ、あるいはそれ以上の質量をもった惑星が、主星から太陽と水星間の距離よりずっと近くを公転している惑星のことです。

 私たちの太陽系では、惑星は、地球のような岩石や金属を主成分とした質量の小さな惑星が恒星(太陽)の近くを回り、木星のようにガス(水素、へリュウム、メタンなど)を主成分とした質量の大きな惑星が、恒星から離れたところを回るという配置になっています。

 この我々の太陽系を元にした惑星系形成理論によれば、木星の様にガスを主体とした巨大な惑星は主星(恒星)から5天文単位位、離れていないと出来ないとされていたので、発見の当初これらの「惑星」が本当に惑星といえるのか疑念の声が上がりました。またこのタイプは木星型のガスを主体としたものでなく超巨大な地球型惑星ではないかという考え方もありました。 (実際、後に巨大地球型ではないかと思われる惑星が発見されました。)

 以前に、木星型惑星が恒星の近くに形成されるという惑星系形成理論があり最近の系外惑星の発見によって注目をあびました。
この理論でも木星型惑星は、恒星から5天文単位程度以上離れたところで形成されるとしています。

ただしこの理論では、形成された惑星とその周りの(惑星を作り出す材料となった)原始太陽系星雲との相互作用(たとえば摩擦などです)によって惑星はより恒星に近い位置に移動するとされていました。ただこの理論では、惑星の移動がとまらず最終的に形成された惑星は、恒星にのみこまれてしまうという欠点がありました。

 今回の発見で、この理論は見なおされ、惑星の移動が途中でとまる様様な機構が提案されているようです。
それによってある惑星系では、「熱い木星」型(ホットジュピター)の惑星が誕生し、一方我々の太陽系の木星や土星などのように その誕生の場所から(恐らく)ほとんど移動していない惑星系が誕生した理由を説明することが、出来る様になる事が期待されています。

想像図

2.楕円軌道型惑星(エキセントリックプラネット)

 太陽系の惑星は、太陽の周りを楕円の軌道を描いて回っています。しかしこの「楕円」はきわめて円に近い楕円です。

 熱い木星型の系外惑星も円に近い楕円軌道持ち、このことがこれらが褐色わい星質量が太陽の8パーセント以下しかなく核融合反応をおこせない恒星。みずから輝く事が出来ないという点では惑星と同じなのだが、形成の過程が惑星とは異なるではなく惑星である事の証拠と考えられた事もありました。

 ところが系外惑星の中に、円からずっとずれた軌道を持つものが発見されました。
おとめ座70番星、HD114762、白鳥座16番星Bなどが、このタイプに属します。このうちおとめ座70番星の惑星は、質量が木星の6.8倍以上、HD114762に至っては12倍以上もあります。

この大きな質量と、軌道が真円から大きく離れた楕円であるという事実、一方恒星の連星系では円からずっと離れた楕円軌道を持つものが、多数あるという事実からこれらは惑星ではなく褐色わい星であると主張する人もいます。

 これらの主張に対して、系外惑星をもっとも多く発見しているGeoffreyMarcyとPaul Butlerは、これまで発見された系外惑星の質量に対する惑星の個数をプロットした図を示し木星質量の10倍以上のところでは、ほとんど惑星あるいは褐色わい星が見い出されていない事を示しています。

 もし楕円軌道型惑星が褐色わい星であるならば、木星質量の10倍以上のところにも連続して惑星もしくは褐色わい星が分布するはずである。この様なギャップは惑星と褐色わい星をその質量で分類できる目安となるのではないか?というのがMarcyらの主張です。

 この楕円軌道型惑星が惑星であるとして、どうしてこのような惑星が生まれたかについては、次のような考えが有力です。

 仮に我々の太陽系に木星と同じあるいはそれ以上の質量を持った惑星が複数存在している場合を考えます(たとえば土星が木星と同じくらいの質量を持っている場合などです)。

数値計算によるシミュレーションによると、これら複数の巨大惑星の軌道は仮に最初円軌道から出発しても安定にはならず、次第に楕円軌道に移行し惑星同士の軌道が交差し惑星どうしが合体してより大質量の惑星が誕生したり、一方の惑星が太陽系から放り出されたりといった現象がおきます。

 つまりこれら楕円軌道型惑星の太陽系では、複数の「木星」が生まれたので楕円軌道型惑星が誕生したという考えです。

3.木星様惑星

 これは上の二つに比べて、恒星からかなり離れていてまた軌道も比較的円に近く質量が太陽系の木星型惑星と同じか、それより大きく太陽系の木星(型惑星)に似ているであろう惑星です。
 代表例としては、おおくま座47番星の惑星が、あげられます。

 ただし今のところ木星くらいの質量で、主星から5天文単位以上離れている惑星は、見つかっておらず太陽系そっくりという惑星系の発見には至っていません。

 このことから私たちの様な太陽系は稀で、したがって地球の様な惑星も稀、よって地球外生命(特に知的生命、ひらたくいえば宇宙人)も稀であると考える人もいます。

 確かに、私たちの様な太陽系は稀という可能性もあるわけですが、これまで最も多くの系外惑星を発見するのに用いられている視線速度法(ドップラーシフト法)は、大質量で主星により近い惑星を発見しやすいという特徴があるうえ、木星そっくりの惑星を確定するには10〜20年という長期間にわたる観測が必要です。

 そのため木星に似た惑星が、発見しにくい可能性が大きいので、まだ結論をだすのは早すぎます。

4.巨大地球型惑星( スーパーアース Super Earth )

 系外惑星の探索が進むにつれ、質量が小さなものも次第に発見されるようになってきました。

 そして2004年の8月には海王星と同程度の質量の惑星の発見が発表されると、この惑星は太陽系の木星型惑星ではなくて、地球のような岩石を主体とするが地球よりはずっと質量の大きな、いわば巨大地球型というべき惑星ではないのか...と考える人も出てきました。

 ただこの惑星の場合は、質量が小さいとはいえ海王星と同程度の質量なので木星型の惑星である可能性の方が大きいので巨大地球型(スーパーアース)の発見といえるかは疑問です。

またこの惑星は主星に非常に近いところを公転しているので、木星型の惑星がその大気を吹き飛ばされて中心核の部分が剥き出しになっている惑星の可能性もあります

 ですが2005年6月には、地球質量の5倍から7.5倍程度の質量をもった惑星の発見が発表されました。
 この質量からは木星型の惑星とは考えにくいのでこの惑星は巨大地球型ではないかと考えられています。

とはいっても、この質量は最低質量で(視線速度法を参照)、実際の惑星質量はこれよりずっと大きい場合もありえます。
 しかしこのような質量の小さい惑星が次々みつかれば確率で考えて、そのすべてが推測値よりずっと大きい質量を持つとは考えにくいので、巨大地球型といってよい惑星の存在が確立するでしょう。

地球型といっても、これらの惑星は太陽系の地球型惑星とは全く異なる形成過程を経た可能性があります。
有力なのは、もともと木星のようなガス惑星として形成された惑星の大気成分がとばされて、中心核(木星や土星などの惑星も中心には氷や岩石からなる核があると考えられている)が露出したという考えです。

いずれにしても、このように質量の大きい地球型惑星は我々の太陽系には存在しないので、その形成過程の説明は太陽系形成理論を一段と強固なものにするでしょう。

5.地球型惑星

系外惑星探索の方法のうち、トランジット法を用いれば比較的小さな惑星の発見も可能だと期待されていました。
また、この方法を使えば発見された惑星がガス惑星か岩石惑星かの判定も可能になります。

しかしながら長い間、トランジット法によって発見される惑星はあまり増えませんでした。
 それはこの方法で見つけることが出来る惑星系が確率的に少ないと考えられ、またトランジットが起こる瞬間を捉えなければ ならないので長時間継続して多数の恒星の観測が必要ですが、それは地球上からでは難しいからです。

 NASAの探査機Keplerは、トランジット法で系外惑星を探査していますが、地球ではなく太陽のまわりをまわる軌道にあるので、地球や月、太陽に邪魔されることなく長時間にわたって同じ対象の観測が可能です。
 この利点をいかして、多数の系外惑星を発見していますが、2011年の12月に地球(質量)サイズの惑星が発見されたことが発表されました。

これらの惑星は、サイズや質量は地球に似ていて、おそらく岩石を主体とした地球型惑星だと考えられます。
 ただ恒星からの距離は、0.0507AU と0.110AUで灼熱の惑星だと考えられるので第二の地球というわけではありません。

Kepler はハビタブルゾーンに、ある惑星も見つけているのですが、こちらは地球より大きな惑星のようで、まだハビタブルゾーンに地球型の惑星を発見するには至っていません。


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