1.系外惑星とは

(1)系外惑星とは?

この言葉を説明する前にまず「惑星」と「恒星」という言葉の説明をしましょう。 まず恒星というのは、核融合反応によって自ら輝く星のことで、太陽も恒星の一つです。夜空に見える星のほとんどは、この「恒星」です。
 一方これら恒星の周りをまわり、自ら輝かない星の事を「惑星」と呼びます。地球や火星といった星がこの惑星になります。 ただし、この説明ですと「彗星」や「小惑星」と呼ばれる天体も「惑星」になってしまいますが、詳しく(厳密に?)分類し始めると非常にややこしくなるので(*1)、 ここでは大体こんなものだと思っておいて下さい。

さて表題の系外惑星とは太陽以外の恒星の周りをまわる惑星すなわち太陽系外惑星のことです。 これまで長い間、太陽以外の恒星の周りにも惑星があるのではないかと考えられてきましたが、確かな証拠はありませんでした。
 1960年代以降になって、何度か太陽系外惑星の「発見」が報告された事がありました。けれども、 それらの発見は後にことごとく間違いであることが証明され、存在が確認された系外惑星は一つもあり ませんでした(*2)。系外惑星の検出は(現在においても)検出技術の極限近くに ありあまりにも難しいからです。

(2)系外惑星の発見

しかし1995年に状況は一変しました。Geneva ObservatoryのMichel MayerとDidier Quelozによってペガスス座51番星に奇妙な惑星が発見されたのです (*3)。発見といっても、直接望遠鏡でこれらの惑星が発見されたのではなく間接的な方法なので 誰もこの惑星を見た人はいません。
 しかしこの発見の後、次々と系外惑星あるいは惑星状天体が発見され2006年11月現在で、その数は182個に 達しています(Exoplanets.orgによる)。 

発見当初は、発見が間接的な方法であり、また後述するように確認された「惑星」が太陽系の惑 星に比べてあまりにも奇妙だったので、「これらの天体は惑星では、ないのではないか」とか「これらの発見は、惑星ではなく他の現象で説明できる。」など色々な議論が起こりましたが、 現在は、これらは真の太陽系外惑星であると考えられているようです。


(*1)冥王星が惑星から降格されたという事が ありましたが、これも「惑星」という言葉の定義の難しさを表した事件といえます。

(*2) もっとも有名な例はバーナード星に木星クラスの「惑星」が二つ存在しているというものでしょう。
 それはSproul観測所(Swarthmore College)のVan de KampがAstrometoryの方法によって、 バーナード星のまわりに惑星が存在している事を発見したというものです。
 しかし後に、「惑星」検出のデータに観測装置に起因するあやまりが発見され、その後の観測等によって 確かな惑星存在の証拠が得られず今では多くの専門家が、この発見は誤りであったと考えています。

 詳しい経緯はたとえばOther Suns. Other Worlds?: The Search for Extra Solar Planetary Systems (D.L.Mammana & D.W.McCarthy,Jr. ,St.Martin's Press(New York))という本、または日本語で読めるものとして異形の惑星―系外惑星形成理論から (井田 茂,NHK BOOKS )などに書かれています。

(*3)これ以前にもパルサーに惑 星が発見されているのですが、パルサーのような言わば死んだ星でなく、太陽とよく似た恒星のまわり に惑星状の天体が確認されたのは、これが最初です。


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