旅から帰国。〜アジアの車窓から〜

 

一か月振りの更新。

皆さんは御機嫌如何でしょうか?

実はまたまた遠征に行っていました。先ほどの帰国。

今回はPCを持って行かなかったので、ここの更新も回想シーンな内容です

今回は陸路で国境を越えるという風な経験も致し旅ムード満点

そして数々の珍プレー、好プレーでまずまずの戦果を収める事が出来ました

こういう経験が続くと作品も骨太になるから良いね

では、回想シーンその@〜

 

午後八時過ぎ 、激しい震動で揺れる車内

二段ベットの上段では白人のバックパッカーが

2メートル近くあるその体を何とかベットに押し込めようと身をよじりながら罵声を発している

ここから13時間走りつづけ、夜明けを迎える 、寝台列車で国境を越えるのだ

 

実はこの列車、昭和の代名詞あの「ブルートレイン」なのである

日本で廃止されたものが、ここタイに寄贈されて運行されているのだ

さすがに、その古さは否めないが、その存在感たるや威風堂々

異国の大陸を縦断する様はジャパンプライド まだまだ現役である

正月明けから、またまたアジア遠征計画は開始されており

タイから隣国ラオスへと渡る際に、このブルートレインを活用した

正しくはブルートレインで国境最短の街で終着し、さらに乗り換えて入国するのだ

島国育ちに、陸路、それも列車で国を跨ぐという感覚は皆無 、なんとも不思議な一瞬であった


*深夜二時;不意に眼が覚める‥

あぁ;

さっきまで騒ぎ倒し菓子をむさぼり食っていた隣の子供が戻しやがった!

ありえない色合の津波がコチラに押寄せた!

ワタシの靴まであと2センチ!ピンチ!‥大変です

 ‥溜息まじりに、見上げると、先の白人はまだ自分の体の落とし所に悩み続けており

  思いつく限りの罵声を続けています、彼もまた‥大変です

 

( 2010年1月10日  バンコク〜ノンカーイを経てラオスの首都ビエンチャンへ )

 

 

 

謹賀新年。

 

あけましておめでとうございます。

みなさんはどのようなお正月でしたか?

 

ワタクシ去年は音楽的に大変実りある年でした

海外での活動なんて夢のような事だったのに、去年の年初め思い切って飛び出してみれば

今となっては当たり前の事になっている事実…

自分の産んだ作品が外国人に受け入れられて行く状況は夢に見た事でしたからね

活動を通して、今後の作品へのヒントも多く得たが、まだまだ課題が山積み

こういう事で悩めるのは創作家みよりに尽きるというもんデス

 

あ。そういえば公式記者発表が行われたので告知します

2010上海万博に出演することが決まりました!

内定はズイブン前から頂いてて、言いたくてウズウズしてたんだけどねw

おもしろいもので、こういうのが決まると事務所にジャンジャン電話が掛かってくるのよ業者から

なんの業者かって?「中国で演奏されるんでしたら、色々とご紹介させて頂きます!さしあたってですねぇ…」

ま、言わば現地のコーディネーターだね、中には中国人からも掛かって来てね、これがまた笑えるんだ

その話はまた追々と〜

 

それでは2010も、よろしくお願いしますね

 

 

祝NHK〜。

 

「オマエら国営放送出てたで〜。」

と、数名の友人知人から連絡を受けて驚く。


番組名「NHK視点論点」堅!

再放送があるというので、すかさず録画して拝見

ほぉ〜スナップ写真での出演ですが、しっかり名指しで出ているではないですか


番組はNPO法人代表、歌手のMさんが熱く語るという内容

また、折をみて画像アップします〜


いやいや祝NHK、こういうのは親が喜ぶワナw
あんまり親孝行してないし…

 


アフリカを喰らう〜獣の肉を噛み締め一考(二日目)

 

発展途上の国は往々に豆料理が多い

年齢も含め最近では豆食は身体に良いし大歓迎なのだが

逆に地元の人には「豆なんて…すいません豆料理で」と恐縮される

 

それでも昨晩の夕食では肉が出た、これははたして何の肉かと訊ねるが早いか

彼らは誇らしげに「イボイノシシです!先日、裏の畑に現れたんです」

とこれまた喋るが早いか、豆の煮込みの上にドッサリ盛り付けてくれた

彼らにとっては訪れた客人への最高のおもてなしと言ったところであろう

 

郷に入りては何の偏見もない私は口に放り込み弾力のある肉を噛み締める

つい数日までアフリカの原野を走り回っていた獣の肉…

さぞかし
癖でもあるのか?と思いきや大変に味が濃くおいしいではないか

これは何処ぞのビーフなど真っ青な味だ


お代わりをせがむと満足そうに彼らは頷き皿に盛り付けてくれた

話を聞くととても大きな個体だったという、マサイの血がさわいだのか

その語り口は興奮気味、多分明日の夕食にはこの肉が並ぶのであろう

 

 


翌朝、別棟にある食堂で朝食をとる

六畳ほどのコンクリート打ちっぱなしが食堂だ

一行で部屋に入ると孤児院の子供たちが食事を用意して待っていてくれた

普段の朝食はもっと早いそうなのだが、我々と卓を囲むのを楽しみにしてくれていたらしい

そこに質素な長テーブルが4台、席を一つずつ空けて座っている

メンバーがバラバラに座り、一人の子供が食事前の祈りを上げた

テーブルには小麦がギッシリと詰まったパンが二切れ、甘く熱いミルクティー

そしてこれでもかと熟して豊潤な香りを放ったマンゴー

驚いたのはそのパンの味、噛みしめるほどに味が小麦の味が増す絶品

作り方を聞いて二度驚く

パンを焼く窯などなく火を焚いた後の消し炭に直接放り込むというもの

しかも焼く器は彼らが普段使っているアルミの洗面器なんだそうだ(昨晩はイボイノシシが山盛り)

割り当てられた、カステラ一切れ大のパン二個

不思議と食への愛おしさが湧いてくる不思議なパンであった

 

環境や状況が変われば、生きるための優先事項というものは簡単に変わってゆくもの

人間も食べることが出来さえすれば生きていける、シンプルな食事を噛み締めながら考える

食べるものが溢れ、選択することに慣れ親しんだ国もしくは時代に生まれた人々には

こういう事は、自分も含め想像に乏しい


物思いに更け食事の手が止まっていたワタシの横顔を

3歳になりたてのジェリーという最年少の女の子がコチラを不思議そうに覗きこんでいた

 

ゴメンゴメン心配ないよ、さあ食べようぜ、と日本語で語りかけるとニュアンスだけは伝わったのか

安心したのか、もとの笑顔に戻り食べ始めた

ジェリーは二ヶ月前にココに来たばかり、スラムでたった一人の肉親である母親と死別したのだそうだ

日本だったら簡単に直ってしまう病気でもココでは簡単に命を落とす

この子にとっては自分の境遇がどうなったのかなど、まだ考える間もないだろう

ただ眼の前の現実を受け止めるしかないのだ

 

「ドライバーがもうすぐ迎えに来ます、食べ終えたら早速コンサート会場に出発です」

そう促す声に、皆は食べる手を早める

茶葉の混じった残り僅かなミルクティーを一気に飲みほした

喉に絡みつくほど甘ったるい

しかし砂糖は贅沢品である、このミルクティーの甘さだってこの国にとっては最高のおもてなしだろう

すべて飲み干し、マンゴーのを口いっぱいに頬張って果肉のついた部分を種から外した

出されたものを完食することも最小限のマナーだ

 

さぁ、この国に来たからには仕事もせねば!感傷に浸っている場合ではない

皆に我々の音楽を楽しんでもらう事が彼らへの最高のもてなしと信じている

音楽を演奏に必要な機材を積み込み、車に乗り込むと

大型の黒サイの風貌を思わせる運転手のピーターが大きくハンドルを切った

ディーゼルエンジンは大きな唸りを上げ、側溝程もある轍にタイヤをとられながら走り出した

 

無事帰国〜さて滞在初日をレポートしましょうか*

 

その@ 「ママ、ワタシがいけないの?」

 

「ママ、ワタシがいけないの?」〜孤児院での夕食後歓迎のマサイダンスの後

その輪の中から一人のマサイの血をひく幼い少女が一歩前に出た

 

緊張気味に辺りを伺いながら、その詩の朗読は静かに始まった

「私はいつもの様にママと市場へ出かけたわ、いつもと変わる様子もないママは私にこう言った

   〜あっちでチップスとソーダを買ってくるからココで待ってなさい〜

そうワタシに告げるとママは喧噪のなかに消えて行った

どれぐらいの時間が経ったのだろう、待てど暮らせどママは帰ってこない

陽はドンドンと暮れかけてくる、すると誰かが小さな声で呟いた、その言葉に私は耳を疑った、まさか!

その声は暗闇の中から、どこからともなく次第に大きくなり、代わる代わるに聞こえて来た

 

「ようこそ。ストリートチルドレンの世界へ…。」

 

… ママ、ワタシがいけないの?」

 

顔色一つ変えずに淡々と語る少女

先ほどまで勇壮に踊りを踊っていた彼らもまた、自分たちの周りに起こりうる当たり前の日常として

その詩の内容を受け止めている

あっけにとられ、しばらく茫然と見つめていた私は

この時あらためて、たった数日だけではあるが、この地に足を踏み入れた事を実感した

 

日本からドゥヴェイ(ドバイ)系由でトランジットを含めると

片道21時間にも及ぶ空路でたどり着いたアフリカ大陸ケニア、ナイロビ

 

現在、アフリカ最大、最悪と言われる100万人を超える大スラム街「キベラ地区」

ここには世界の犯罪の全てがあるという 映画「ナイロビの蜂」の舞台にもなった場所

 

生きるためなら殺人など何とも思っていない人間が圧倒的に潜むこの近辺

こうして日本人が滞在していることも、すでに昼間には熟知しているだろう

陽が落ちたら一歩も外には出られない、例え車ででもだ(カージャックに遭い、銃を突きつけられ引きずりだされ…)

そんな場所を横目に滞在初日の夜が更けていく

 

焚火で暖められたバケツ一杯のお湯で(洗面器よりもマシ?)身体を拭い

相部屋で同行メンバーと明日から続く、訪問コンサートの打ち合わせに入った

 

 

とまぁ。文面で書くとオドロおどろしいが、施設の子供達も明るく元気だし

辺境の旅にメッポウ強い旅の面々も楽しそうだ

また一つ人生のターニングポイントにもなろうこの旅が、良い旅になる事を確信して蚊帳の中に潜り込んだ

 

なんたってマラリア、黄熱病を媒介する蚊がウヨウヨ飛んでいるからね;w

 

*** と、無事帰国後。旅を振り返りながら思い出せる限りエピソードを綴っていきます