2016年10月3日
[物理学]

E=mc2

\[E=mc^2 \]

科学に興味のある人はもちろん,科学に興味が無い人でも知っているであろうドイツ生まれの天才物理学者アルベルト・アインシュタインが1907年に発表した上の式.この式は,特殊相対性理論の帰結として導かれているらしい(自分はちゃんと理解していません)のだが,この式の凄いところは「質量はエネルギーと等価である」と言ってしまうところである.1774年にラボアジエが「質量保存の法則」を発表して以来,アインシュタインがこの式を導出するまでは質量は変化することなく一定であると考えられてきた.しかし,アインシュタインの式によれば,質量は生成・消滅するものであり,一定なのは光速度であるという.そして,この式から言えることは,非常に小さな質量の欠損が,莫大なエネルギーを生み出すということである.
例として,1gの物質が消滅した時に放出されるエネルギーを計算してみよう.光速度cは3.0×108m/sであり,1gは0.001kgであるから,放出されるエネルギーEは,
\[E=0.001\times(3.0\times10^8)^2=9.0\times10^{13}\,\rm J \] となる.白ご飯一杯(100g)のエネルギーは168kcal=168000cal=702912Jなので,1gの質量の欠損は白ご飯1億2千万杯分のエネルギーということになる.つまり,毎日3gずつ質量を欠損させれば,日本国民を養うことができるということである.そんなことはできないけども,それだけ質量の持つエネルギーは大きいのであり,このエネルギーが原子爆弾に使われたり,原子力発電に使われたりするのである.
アインシュタインはたぶん,E=mc2を原子爆弾に応用しようと思って導いたのではないと思う.物理学は,純粋に自然現象の解明という観点から取り組んでいるうちは楽しいものだけど,ひとたび応用となると使い方によっては非常に危険で,悲惨な結果に結びつくこともある.道具を持ってしまった以上は,その道具の使い方についてよく考える必要があると思う.




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