『酔興』

  悲しくて、
 つまらない人生よりも、
 誰しも楽しく、幸せな人生を欲しがる。
 欲とは、そんなもの。

  過去には戻れない分、想い出がある。
 未来に託しても、心に残る言葉は生まれない。
 過去、未来へはタイムスリップも出来ない。
 現在(いま)が唯一。現在(いま)を生きるのみ。

  肩肘張らない気楽さがいい。
 焦らず、のんびり歩むのも一
興。
 悔やむよりも、明日へは石橋を叩いて渡る。
 後悔先に立たず。


      『生命(いのち)を喰らう』

  「いただきます」。
 生命を喰らって、生命を繋ぐ。
 生きると言うことは、生命を食べることである。
 すなわち朝、昼、晩に食し、吹けば飛ぶような小さな生命さえも奪ってしまう。
 それ故に野菜や魚、動物たち全てに感謝し、粗末にはできない

  大切な生命の糧である。
 そのものたちに想いを馳せながら、しみじみと味わいたい。
 己の血となり、肉となって身体(からだ)に宿
る。
 生きることは過酷である。
 「御馳走様」。

    『大海』

  海はいなぁ。
 どこまでも、どこまでも、
 広くて、広くて、でっかくって。
 雄大さは、何もかも包み込むおおらかな親父のよう。
 水平線へと続く青く澄み渡る透明感は、お袋の懐に抱かれた温もり。
 岩場に砕け散る波しぶき。
 渚が奏でる波の音。
 微笑んだり、語りかけもするが、時には泣いたり、怒りもぶちまける。
 港では海に生きる男たちが、わたつみを敬い、大漁を祈る