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■ 『 横浜ビクターマスタリングセンター 』 

『 マスタリング 』 とは?

アルバムに入ってる曲々の音圧レベルやバランス、統一感などを最終調整する作業

これには、専門のマスタリングエンジニアという職業の方がいるくらい

専門的な知識と確かな耳が要る仕事

これをやらないとプレス工場でのCDプレス作業に移れない


年も明け、アルバム制作も佳境に入って来た

記念すべき、1stアルバム『ETERNAL VIBES』の


マスタリングに立ち会うため横浜にある

ビクター本社工場の施設内にある横浜ビクターマスタリングセンターに向かった…



■ 『 THE ビクター街 』

JR最寄の駅で降りるとそこは、ビクター(◎_◎)一色!工場群で一町出来ている

待ち合わせで教えられた、場所まで徒歩で向かう…広過ぎる


しばらく歩いただろうか、広い敷地の中に一際異色の建物が目に入る。あれだ!



駐車場を横切ると、正門の向こうから真っ赤なBMWが滑り込んでくる

PのYサンだ隣にはMサンも乗っている


(;o;)いいねぇ〜業界人は。オレも乗せて来てよぉ(T-T)う〜今に見ておれ(苦笑)

建物の中へ

Yサン慣れた感じで受付嬢に挨拶、しょっちゅう来てるんだそう

L字に曲がった長ぁい廊下を歩いて行くとソコには

おぉ。あるわあるわ壁にはゴールドディスクの数々


アーティストのサインと手がけた担当マスタリングエンジニアへの感謝の言葉が綴られている

そう、『 マスタリングエンジニア 』とは最後にCDにマジックをかける、音楽業界では一目置かれた存在

一流アーティストからは毎回御指名がくる程

確実に手がけるエンジニアの手腕で音が劇的に変化、セールスにも響いてくるというから凄い

 

■ 『 しかしなんでビクター?ヒットはイレギュラーから生まれる 』

ここで勘の鋭い読者ならお気づきでは?なんで、CDキングレコードから出てんのにビクター??

そうんなんです


この場所はビクターであってビクターでない?

エンジニアの方々も社員ではなく

個々の独立した存在、ん〜音楽業界マカ不思議


何がどう転んでヒットするか分からないご時世

CDリリース(原盤制作)とは出資者、企画、制作、流通販売が権利関係で入り混じるので


絵に描いたような順序は存在しないもんなんですねぇ〜勉強にナリマス

 


■ 『 なんじゃこりゃ凄ェ 』

 

選ばれし数人のエンジニア達はそれぞれ自分のマスタリングルームを持ってる


ドアが少し空いている部屋を何気に覗くと!『 なんじゃコリャ! 』

高価な機材の山(◎_◎)その値段たるや数千万いやそれ以上(汗)?


全て本人の信頼の置けるモノを自分の耳で確かめて揃えてるらしい

海外ではマスタリングエンジニアという職業は地位が確立されてて


その立場はレコーディングエンジニア以上とも言われてる〜いったいどういう耳をしてるのかねぇ

録音専門雑誌で見た事はあるが、本物が当たり前に置かれてる…ん〜高そう


不在なのをいい事にいろんな方の部屋を 舐める様に見て周る?(゚_。)?(。_゚)?

おぉ。雑誌で見たアノ人の部屋だぁ(◎_◎)っとマニアックなミーハー振りを発揮

 

■ 『 音楽も叩き台から? 』

 

出迎えて頂いたのは、今回マスタリング処理をお願いするT氏

若さとは裏腹、確かな選択眼で新進気鋭なお方

妙に腰が低いのでこちらも恐縮する


『 それでは、叩き台で2パターン用意しますのでこちらでお待ち下さい… 』

?(゚_。)?(。_゚)?…ん?どういう事?

 

■ 『 プレステかよ〜 』

 

曲の仕上りを大まかに調整し

クライアントの要望で更に細かく作りこんでいくのが流れらしい


彼らの作業中は立ち入り禁止

案内された応接室でひたすら待つ『 待つ。 』のだ

とはいえ応接室は至れりつくせり、喫茶スペースにふかふかソファー


オリコン雑誌(いかにもだね)なんてので客人をもてなしてある…とにかく『 待つ。 』のである

一時間はたっただろうか?

置かれてる環境の珍しさにも慣れ


暇を持て余しプレステ(スタジオ関係にはなぜか常設?)に電源をいれ花火を打ち上げるゲーム?没頭

何故か信じられない高得点をマークしはじめた頃

マスタリングエンジニア『 T氏 』が現れる 「 とりあえず出来ましたのでこちらへ…」


?おっ。出来ましたか!プレステのポーズを押し←続けるんかい〜あたふたと皆の後をついて行く…

 

■ 『 春風の力強さ…濡れた子犬の様な目で?な世界 』

 

T氏のマスタリングルームに入り、出来あがった2パターンを順に聞き比べる…

ん〜サスガになんか違う

一皮音の皮が剥けたような〜枝豆の薄皮的とでも言おうか…


眉間にしわを寄せながら、耳をダンボにして聴き込む僕

冷静に自分の作ったMIXを聴いてるM氏

T氏曰く 「 最初の方は136kzを持ち上げて新しい感じに、もう片方は80kzに着目してノリを重視…。」

?…はぁ〜。なんかこう、ワインのテイスティングにも似た微妙なせ界

ほら?あるでしょ?

『春風の力強さ…濡れた子犬の様な目で』(苦笑)


いやいやこんな事は言ってないけど、それだけ微妙な世界(^^ゞ

自分の耳を疑うほど繊細な作業だね、これは

 

■ 『 慣れてくると分かるよ、確かにこの違い 』

 

『 どちらで作業を進めますか?』 と聞かれ困惑(◎_◎)…

両方それなりに良いし、どうしよMサン


『 俺は後の方が好みやなぁ、でもオマエ決めろ…』と変わらず冷静

Yサンどう思います?…『 後の方がイイね、でも自分で決めないと後悔するよ!』

…ん。そうだよなぁ、みんながそうやって言ってると後者が良く聞えて来る(苦笑)


自分自身の作品を客観的に見るのはホント難しいね

過剰に作品を溺愛してしまうと方向性を見失う

こう言う時には、周りの人間が頼もしい

冷静沈着に溺愛してる我が子をズバズバ斬る!叩く☆(゚o(○=(゚ο゚)o(笑)

ここは周りを信頼して後者に決定、ということでまた待合室で出来あがりを待つ事に…プレステ再開(^^ゞ

 

■ 『 初めて誉められたゾ(笑) 』

 

再開したプレステのゲームが何故か最高得点をマーク!

ってオイオイ何しに来とんじゃ?俺は(苦笑)


若干の緊張とゲームなんてどうでもいい

と気楽にやってると余計調子出ちゃってコレがなかなか終わらない

ほら、車運転ててなんか用事したくて赤になったら!

って思ってると何故か赤にならない(笑)そんな感じ?

 

■ 『 おまえ、エライうまいなぁ… 』

 

横からゲーム好きのM氏が首を突っ込む


えっ?あぁ、まぁ…汗、あんた歌では誉めたこと無いクセにぃ〜

ひゅぅる!…どドン!パーン!(花火のゲームなんで…

待合室に不似合いな季節外れの花火音がこだまし、時間は過ぎて行く…

 

■ 『 お。○ック ザ カンクルーじゃん?』

 

待合室を『 大花火大会☆○(゜ο゜)o 』で占拠していたが

ポチポチ別のお客が現れ始める


別のスタジオでヒップホップの爆音がし始めた

コンピのアルバムでもマスタリングしてるのだろう

大体はレコード屋サン(レコード会社のディレクター)が多いんだけど

Yさんはほとんど知り合い?みたい


ホントは何処まで仲イイのやらよく分からんが

業界ジョークを連発し談笑…それを横目で見ながら花火を連打(笑)

そこに、ちょんまげの無愛想なお兄ちゃんがコーヒーを取りに来る…?(゜_。)?(。_゜)?


どっかのディレクターには見えないなァこの人、このハングリーな目(☆o☆)どっかで見たような気が…

おぉ(◎_◎)。達郎サンのクリスマス曲をラップでやって一発当てた人じゃん!この人


あぁナルほどさっきの爆音はこの人達のアルバムの音ね〜納得

それにしてもそんな怖い顔せんでもエエがな(苦笑)誰もアンタの悪口言うてへんし(笑)


『 上がってんのぉ〜♪下がってんのぉ〜♪ミンナハッキリイットケェ♪… 』

そんな音が花火音に混じりだした昼下がり…

 

■『ETERNAL VIBES』制作秘話VOL.64 −

 

またまたマスタリングルームに呼ばれ調整後の音をチェック!


『 ん〜さすが!ツボを突いてるね〜いいっすね〜これでOKデス 』

『じゃ。次の曲を…あちらでお待ち下さい…』

と部屋を追い出されてひたすら待つ…なんてやり取りをx5曲やるわけなんですよ


朝始めて、5曲目が終わった頃には陽が暮れていた…

そして最後にマスタリングルームにて完成されたマスターを通して聴く… 感無量(T-T)

 

■ 『 mini album ETERNAL VIBES制作秘話VOL.最終章 』

 

完成したマスターをマスタリングエンジニアのT氏に預け

(CDプレスはここのビクターの工場でするんだ)


ビクターマスタリングセンターを後にする、もうすっかり陽は落ちてあたりは薄暗い

お二人は真っ赤なBMWにそそくさと乗り込んでいく

…おいおい(>_<)ここから電車でトボトボ帰るのかァ〜

(T-T)いいなぁ君らは…高級外車で(@_@;)


そんなタカヒロのネタミオーラがもっすごい出てたのか

『 ?タカヒロも乗ってくかぁ? 』っとたまりかねてY氏

(◎_◎)えっ?『…そぉぉぉぉですかぁぁぁσ(^_^;)?』

すかさず乗り込む!気の変わらない内に(笑)

都内へ向かう高速道路は夕暮れで渋滞気味

苛立つ路上の空気を縫うように進む


運転席と助手席の会話は相変わらず業界ネタ

二人が別にコレから手がけるアーティストの話で持ちきりだ

あ。コノ前ライブで観た女の子ね…

ダンボモード('_'?)で聞いてると

やはりアーティストは商品だというような厳しい意見が飛び交う


あのぉ。後部席にアーティストみたいのも乗ってんすけど(^^ゞ

これまたケハイに気付いたか、振り返ってM氏が口を開く


『 TAKAHIRO!CDは制作するより売る方が難しいねん!

自分の手でコレからしっかり売って来い!』

…(T-T)ハイ。そうだよねぇ

イイもん創っても買う人いなかったら成り立たないもんねぇ次から…これぞプロの世界

了解☆やってやろうじゃぁナイの☆○(゚ο゚)o ●●●●枚売るとY氏と約束

達成すれば何処のメーカーも頭下げてくれるとさ!

そんな問答の間に新宿駅へ到着、Y氏は激しい排気音と共に消え


二人もそれぞれの電車に乗るため、別れを告げホームに向かった…

これで僕は一時帰郷となるわけだ…←この時点2002年1月半ば

あとはCDが発売されるのを寝て待つのみ…


っとは行かないっ!

売らねば(苦笑)自分の手で売らねばぁ〜という事で次回予告(笑)


- mini album 『ETERNAL VIBES』プロモーション秘話が始まるのだ(^^ゞ

お楽しみに。。。