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〈 クレスト(梵天) 〉 Crest 

略表記はCR、常染色体上の優性遺伝形質である。
       

日本で誰もクレストなどと呼ばない。だから私もこれを梵天(Bonten)と書くことにする。

オスメスともに、頭頂部に冠羽を形作る。
フルサーキュラーと呼ばれる円周状の冠羽が理想的であるが、錦華鳥ではそれは希少である。

梵天のヒナは頭頂部に筆毛が出始めればすぐに、その毛の向きを見ることによって梵天であるかどうかが確認できる。ノーマルな頭部のヒナと一緒に巣の中にいても違いはすぐにわかる。

【 梵天と他変異との結合 】
梵天変異は錦華鳥のどの羽色、柄のバリエーションとも同時に出現させることができる。
フリルであってさえ、頭の羽毛だけはノーマルなことから「梵天フリル」も可能である。

冠羽の色はそれぞれの色変異と同色である。
パイド種なら、まだらの冠羽になることもあるし、ブラックブレストでチークパッチのオレンジ色を頭頂部まで拡張させているオス鳥であれば、冠羽はオレンジ色になる。

梵天変異は他のどの変異とも特徴の打ち消し合いをするものではないが、ただ優性遺伝である梵天遺伝子のダブルファクター(DF)は致命的であるとされている。
優性遺伝の変異には劣性の致死遺伝が働くものが多い。(ブラックフェイスドミナントシルバーもそうであるとされる)
ダブルファクター(DF)とは、1個持てば特徴が発現する優性遺伝子を2個持った状態のことである。
致死の形質はダブルファクターのときに発現するということである。
このケースでは多分、ヒナは卵の中で死に、孵化しない。
つまり、梵天の特徴を持って生まれてきている鳥は全てシングルファクター(SF)だということである。
図解(クリックで拡大)
梵天SF × 梵天SF で交配を行ったとき、生まれてくる「はず」のヒナの確率は、梵天SF=50%、梵天DF=25%、そしてノーマル頭が25%である。
つまりDFになってしまった25%のヒナは卵の中で死ぬことになる。
なので「梵天 × ノーマル頭」の交配を行うべきだといわれている。
梵天×梵天の交配からは実に悪い形状の梵天が多く引き起こされたという実例もあることから、これはいずれにしても良い考えかもしれない。

結合品種の解説(クリックで拡大)
梵天ペンギン(CR PNG)
ユーモラスな「立ち梵天」であるが、キンカチョウには結構このタイプの梵天はよく見られる。このような‘モヒカン’みたいなものだったり‘坊ちゃん’みたいに前髪だけオカッパだったりと色々な形状のものがいる。フルサーキュラーで頭頂部に厚みのある梵天が最高なのだが、それは実に数少ない。
梵天ホワイト(CR W)

羽毛が逆立つと白いベースに陰影が出て、少しの変化で大きな効果がある。
模様がある品種よりも、白一色のホワイト錦華鳥に梵天が載ると目立つ。
そしてなんとも愛嬌があって可愛らしいのである。
ホワイト錦華鳥のダブルクレスト(CR W)
せっかくサーキュラーなのにツムジが2個あるため頭頂部で羽毛がぶつかり合って立ち上がり、これも‘モヒカン’になっている。
こういう鳥は時々見る。もちろん規格外だが、ダブルクレストと名づけ「梵天の珍品種」と言ってしまえば言った者勝ちになる気がする。(註:冗談です)