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 ■温州みかん(極早生・早生・晩生・極晩生) 収穫 出荷
 温州という呼び名から、原産地は中国逝江省温州府と思われそうだが、鹿児島県長島が誕生の地である。その起源は、遣唐使によりもたらされた柑橘類の種子が偶然に発芽したものだそうで、現存する古木の年齢から4、500年程昔のこととされている。そのため、英語ではサツママンダリン(テーブルオレンジが通称)とも呼ばれている。その種類の代表的なものに極早生(宮本・日南一号)、早生(宮川・興津)、中早生(向山・南柑20号)、普通温州(林・青島)がある。

10〜11

10〜12

 ■紀州みかん(平紀州)
 天正年間(1574年)に紀州有田に伝えられて一大産業となり、寛永年間(1634年)に江戸に出荷され名が広まった。江戸時代が全盛期で、明治時代の中頃まではわが国を代表するみかんであったが、現在では鹿児島県の「桜島小みかん」などの特産品として少数出荷されている。鏡餅に添える橙の代用品として葉をつけて出荷するので「葉付きみかん」と呼ばれている。果皮は薄く、橙黄色で光沢・香りがあるが、浮皮になりやすい。果肉は柔軟多汁、酸は少なく、甘みが強い。種子を持つ縁起物。
 ■セミノール
 ダンカングレープフルーツとダンシータンゼリンの交雑種。1955年に田中長三郎博士によりUCLAを通じて種子で導入され、当地五ヶ所の篤志家、桂清吉とのコンビにより産業商品化された。袋掛け樹上越冬を初めて試みた樹。果面が極めて滑らかで光沢豊か、赤橙色が映える美しい品種。3月下旬〜4月上旬に収穫し、5月以降に出荷する。特長は果汁が多く香りが豊かである。 4 4〜5
 ■カラ(カラマンダリン)
 温州みかんとキングの雑種。4月に収穫し、5月頃出荷する極晩生柑橘。UCLA大学のフロスト博士育種を成田中長三郎博士が種子で導入し、当地の桂清吉氏園に栽培依託したが、当初、酸が高く、かいよう病にも弱いために経済栽培に不向きとされたが、袋掛けすることによりかいよう病も防除することができたため商品化を試みた。果面はやや粗く濃い橙色。果肉は濃橙色で柔軟多汁、食味は濃厚だが酸は強目。
 ■夏みかん(夏橙)
 夏橙(ナツダイダイ)が正式な名称。1700年頃、山口県長門市の海岸に漂着した種子を播いたのが起源。原木は今も健在で、ぶんたんの血を引く自然雑種。4〜5月が熟期の晩生品種で、じょうのうが厚くて硬く、ナリンジンの独特の苦みがあり、果汁は酸味が強い。
 ■八朔みかん
 旧暦の八月朔日(ついたち)になると酸がぬけ美味しく食べられることからその名がついた。1860年頃、広島県因島市浄土寺の境内の樹に偶発実生した。果実は酸味と甘味が適度で、かすかな苦味があり、果汁はやや少なめでサッパリした食味が特徴。
 ■紅八朔みかん
 ■甘夏みかん(川野夏柑)
 大分県津久見市の川野豊氏の園から発見された甘味系の夏橙(夏みかん)の枝変わり。酸味が少なく、ほのかな苦味がある。酸っぱい夏みかんのイメージを一新。果皮には精油を多く含み採油して食品用香料にも用いられる。着色が早く、酸が早期に消失する。 4 4〜5
 ■清見オレンジ
宮川早生とトロビタオレンジの雑種。果実がやわらかく、果皮もむきやすく甘味が高く食味は最高。完熟すると袋ごと生食できる。果汁にはオレンジの芳香あり。2〜3月に収穫し、3月中下旬に出荷。 2〜5
 ■デコポン(不知火) - 土実樹ではデコタンの名称です。 -
 清見にポンカンを交配して育成された新しい品種。果皮がむきやすく、じょうのうも薄く、甘味が高く食味は最高。種子がない。 2 2〜3
 ■はるみ
 清見とポンカンの雑種で、興津44号として育成された。剥皮は容易で、じょうのうが薄くそのまま食べられる。収穫期は1月中旬下旬。
 ■早香(はやか)
 「今村温州」と「中野3号ポンカン」との交雑種で、扁円で香りが良く糖度が高い早生種です。果皮の色は橙で薄く、剥き易い。果汁が多く甘味が強い上に、酸味が少ない人気種です。ただし、比較的種子が含みやすい点が難といえる。
 ■ネーブルオレンジ(ワシントンネーブル)
 早生オレンジの主流品種。ネーブルは英語でへその意味。尻の部分にへそのような別の袋がある。果皮は濃橙色で平滑、剥皮し難い。果肉は濃橙黄色で、柔軟多汁、高い香りを持ち甘酸相和で品質優秀。多くの変異種(白柳など)を持つ。 12 1〜3
 ■いよかん
 みかんとオレンジの交配種。紅が濃くジューシーで、口の中に広がる甘さと香りが最高。名前から愛媛原産と思われがちだが、1887年山口県東分村(中村正路氏の園)で確認されたので、穴門(あなと)みかんと命名されたが、1890年に松山市の三次保徳氏が増植し、いよかん命名の礎を為した。さらに、1952年に同市の宮内正義氏園で枝変わりが発見され、宮内いよかんと命名され今日のいよかんブランドとなる。 12 1〜4
 ■南柑20号
 果実は大きくて扁平、果皮色は濃くて外観は美しい。果汁は糖度が高くて酸が少ないので、食味はきわめて良好。中早生温州の一種であるがブランド化され、ギフト用として人気が高い。 11〜12
 ■ポンカン(椪柑)
 へた(果柄)の部分が突き出していて、甘みや香気が強く「東洋のベストオレンジ」と呼ばれる。原産はインドアッサム地方。中国、台湾を経てわが国には明治29年鹿児島県に苗木を導入して栽培が始まった。果皮がむきやすく、果肉は柔らか、多汁強甘味少酸味で内袋も柔らかだが種子がある。 1 1〜3
 ■キンカン(金柑)
 四季咲性がある中国南部原産の果肉が食べられない珍しい果物である。主に7月に開花し、9〜10月にも花が咲き、かんきつ類の開花期の5月はまれである。。果皮に甘みがあり、主にこの部分を生食する。現在流通のキンカンは寧波(にんぽう)キンカンと呼ばれるもので果皮は淡黄色、甘みが強く、酸はキンカン属中最も少なく品質優良。熟期は1〜4月。種子なしのキンカン「ぶちまる」は今後期待の新種。
 ■春峰
 清見と水晶文旦の雑種。民間(河嶋良樹氏)で初めて意図的な種間交雑を行ってできた品種。果実は大き目で皮が剥き易く、円やか上品な甘さと柚に似た芳香を持つ。収穫期は2月。
 ■日向夏
 高知県産はニューサマーオレンジや小夏と呼ばれ有名になったが、もともとは日向の国、宮崎県原産。果面が柔らかで剥きやすく、果肉は甘酸相和し、風味がよい。種子なしの「白鳥日向」や「室戸小夏」、橙色の強い「オレンジ日向」もある。
 ■柚
 中国揚子江上流に原産し、中国に広く分布し、奈良時代前後に渡来。古来、冬至にゆず湯に入り、柚子みそを食べる習わしがあるほどの健康食材。発ガン性物質ニトロソジメチルアミン生成を抑える効果をもつ柑橘の中でも果汁は柔軟多汁で多酸。
 ■橙
 一本の樹に二季の新旧の果実がなっていることから代々といわれ、子孫繁栄を意味し正月の飾りに利用されている縁起物。酸が強く生食には向かないが食酢として利用される。海外ではマーマレイドの主食材として利用される。
 ■レモン
 インドのヒマラヤ北東山麓で発生、明治時代に伝わり、一時瀬戸内地方を中心に栽培された香酸かんきつの王者。
 ■ザボン(文旦)
ベトナム原産で台湾経由で渡来した文旦と呼ばれる大型品種。熊本・大分・長崎・宮崎・鹿児島・高知など暖かい地方でないと、商品生産出来ない品種で、晩白柚(ばんぺいゆ)や本田文旦、土佐文旦などのブランド品種があります。うす緑色のグレープフルーツ・オロブロンコ(スウィーティ)という新商品は、アメリカでこの種とグレープフルーツを交配してできた人工品種で米産のものはオロブロンコ、イスラエル産はスウィーティと呼ばれているようです。