【杜若】 
 ○作者 世阿弥
 ○場所 三河・大橋
 ○季節 夏

 東国行脚の都方の僧(ワキ)が、三河国・大橋の沢辺に憩い、咲き匂う杜若に見とれていると里の女 (シテ)が現れ、大橋の杜若にまつわる故事を語り、杜若こそ在原業平の形見の花だとのべ、僧を自分の庵室(あんじつ)へ案内する。(物着)

 唐織(からおり)を長絹(ちょうけん)・初冠(ういかんむり)に装を改め、自分は杜若の精だと告げる。

業平は極楽の歌舞の菩薩の化身であり、その詠歌は法身説法の妙文で、非常の草木も救われると説く。
「かきつばた」という五文字を句の上において、旅の心を詠んだ
 
 「唐衣 着つ馴れにし 妻しあれば 遥々来ぬる 旅をしぞ思う」
         
                         は、業平が詠んだ有名な和歌である。
   

里の女 (シテ) 僧(ワキ)

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