〜The room of NIGHT DUTY for
LOVERS〜
時刻は午後3時半。その日、雪は準夜勤だった。
白い詰襟でミニスカートの前開きワンピースにジージャンを羽織り、黒のストッキングという今流行りの服装で時間外受付用の入り口から病院へ入り、診察の終わった人気の少ない1階の廊下を職員更衣室へ向かって歩いていた。
廊下の角を曲がると、外科医を務める恋人の古代が、ボタンも止めずに白衣を無造作に羽織り、両手を白衣のポケットに突っ込んだまま、疲れた様子でこちらへ向かって歩いて来るのが見えた。
(あ、古代君だわ)
雪はいち早く自分の恋人の存在を認めたが、同時に古代も雪に気が付いた様子で、今までダラダラと歩いていた歩調を少し速め、雪に向かって歩いて来た。
(お、雪の今日の服、いいじゃないか。黒のストッキングもいいな。ただでさえすらっとした足がさらに綺麗に見える。・・・出来れば、このままホテルでも行って、思い切り楽しみたい気分だぜ)
考えていることとは裏腹に、今夜、当直当番の古代にはそれが出来ない。
(ちぇっ。なんで今日に限って当直が俺なんだよっ。しかも転勤間際だってのに)
心の中で舌打ちしながら、不満げな顔をしたまま雪に近づいた。
「よぉ。今から仕事か?」
「ご苦労様です、古代先生。ふふふ、相変わらずだらしない格好ですね」
「誰もいないんだから、“先生”はよせよ。それからその・・敬語も」
「・・・今日は疲れてるみたいね」
「ああ、さっき緊急で運ばれてきた患者の処置をしてきた。午前中いっぱい外来患者の相手をして、おまけに今日は当直なんだぜ。考えただけでも疲れるよ」
溜息と共に言う。
「あら、ご苦労様。でも、私だって今日は準夜勤だから、帰るのは夜中なのよ、大変でしょう?」
「あ?あぁ、看護士も大変だとは思うよ。でもまあ、ここでの勤務もあと3日。来週からは離れ小島の診療所に二人仲良く転勤だし、あともうひと踏ん張りってとこだな」
「離れ小島ね〜」
雪がまるでバカンスに行くようなウキウキした声を上げた。
「あ、でも・・“楽しみ”も何もない上に、昼夜なく働かされたりして?・・どうして『行く』なんて返事しちゃったのかしら、私・・」
さっきとは一転、溜息交じりの雪の言葉に、古代は思わずぷぷっと噴出した。
「おいおい、今更残るなんて言うなよ。嫌がる俺を説得したのは雪、君なんだからな」
「わ、わかってるわよ」
「あぁ、患者なんて滅多に来ないらしいぜ。考えても見ろよ、離れ小島だぞ?それからな、俺と二人で転勤なんだから、“お楽しみ”はそれなりにあるだろう?」
そう言いながら、古代は雪に肌が触れるほど近寄ると、尻を撫で上げた。
「きゃっ。もう、誰か見ていたらどうするのよ?」
雪は膨れっ面をしながら古代の手を払いのけると、慌てて周りを見渡した。
「大丈夫だよ。誰も見ていないって。それより・・・・」
古代は、くっくっと笑いながら、雪の耳元に顔を寄せると悪戯っぽい顔で囁いた。
「今夜、勤務が終わったら当直室に来いよ、待ってるから」
「え?」
雪が古代の言葉の意味をすぐさま理解して、顔を赤らめる。
「この病院でヤルのも今晩が最後だろうし、午前中の仕事疲れで溜まってるんだよ。ここのところ雪とはご無沙汰だったしな。本当は今スグにでもどっかの部屋に連れ込みたい気分なんだぜ?・・・・な?待ってるから」
そう言うと、雪の耳元から顔を離し、雪を見つめた。
少し不良っぽい古代の表情。雪はそんな表情の古代に弱い。
「・・分かったわ」
クスッと笑って雪が答えたのを見て、古代は悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「この間、産婦人科の先生にいい物をもらったんだ、ちょっと来いよ」
言い終わらないうちに雪の手を掴んで歩きだした。
「ちょ、ちょっと待って、いい物って何?それに私、もう着替えて病棟へ行かなくちゃ・・引継ぎの時間が・・」
「スグすむよ。いいから来いって」
困惑する雪をよそに、古代は雪の手を引いて、スタスタと外科の外来診察室へ入って行った。
外来診察室に入ると雪の手を離し、自分の机の所へ行き、引き出しからアンプルを手に取ると、棚から未使用の注射器と針を取り出し、雪の方へ向かった。
「何?注射?」
「そう。腕にするから、袖をまくって」
古代は手馴れた様子で、素早く注射器と針を袋から取り出すと、アンプルの液を注射器に吸い取った。
「嫌よ、何の注射なの?」
「今夜楽しむための、お楽しみの薬だよ」
「そんなもの必要ないでしょう?変なもの注射しないで」
「変なものじゃないから心配すんなよ」
「せめて、それが何か教えてくれてもいいでしょ?」
「注射したら教えてやるよ。だから早く袖まくれよ。もう行かなきゃいけないんだろ?」
半ば命令口調で言われ、雪は渋々袖をまくって腕を出した。
古代は手早く消毒綿で雪の腕を拭うとそこに注射針を刺し、ゆっくり液を注入する。
注射針のチクッとした痛みに、雪は若干顔を歪めた。
「よし、終わり」
古代は注射針を引き抜くのと同時に、脱脂綿をその場所に押し当て、雪に揉むよう指示した。
「約束よ、何の注射なの?」
雪は注射をされたその場所を揉みながら、不満そうに聞いた。
「ただのホルモン注射だよ」
「ホルモン?・・・どうして?」
「結構楽しめるらしいぜ。まあ、ホルモン不足の年寄りにはただの補充薬だが、そうでなきゃ、結構興奮するらしい」
古代は『してやったり』という満足そうな表情で答える。
雪は『やられた』という表情で古代を軽く睨みながら聞く。
「興奮って、どうなるの?」
「さあな、俺も自分に使った事なんてないから、分からないよ」
「分からない、って・・・」
雪は古代の言葉に唖然として、すぐに言い返せなかった。
「・・分からないものを私に注射するなんて・・ヒドイ」
プーっとむくれる。
「まあ、いいじゃないか。とにかく今夜は楽しもうぜ」
「人ごとだと思って。でもどうして、産婦人科の先生が古代君にそんな物をくれるの?」
「俺と雪が付き合ってるのを知ってるからだろ?『たまには、趣向を変えて楽しんで下さい』って面白がってくれたぜ。餞別の意味もあるのかもしれないな?」
古代はその時の事を思い出したかのように笑う。
「餞別って・・まさか・・私達のSEXの事まで話してるんじゃないでしょうね?」
「してないよ、そんな事。ただ、時々あちこちの部屋にしけこむ事があるとは言った」
「そんな事話したの?古代君って見かけによらずおしゃべりなのね」
雪が古代を窘めたが、当の本人は全く意に返さない様子だった。
それどころか、雪の反応が可笑しくて堪らないといった顔をしている。
「あはは、いいじゃないか。俺と雪が付き合ってることは周知の事実なんだし、あと3日でこことはおさらばだし・・それにな、子供じゃないんだから、SEXしてて当たり前だろ?」
「・・それは・・そうだけど・・でも他人に話すようなことじゃないでしょ?勤務先の人なのよ・・」
「あ〜思い出した!転勤先では好き勝手やっていいけど、ここの勤務が終わるまではくれぐれも他の職員や患者に現場を見られないように、と注意されたよ」
「もうっイヤ!」
古代は雪の困った表情がおかしくて仕方がなかった。笑いが止まらない。
「やっぱり今夜は当直室なんて行かないから!待ってても無駄なんだから!真っ直ぐ家に帰ります!・・・古代君なんて知らないっ」
そこまで一気に言うと、プイッと顔を背けた。
古代は雪の耳元に再び顔を寄せて、「そんな事言ったって、身体が俺を欲しくて仕方がなくなるよ」と囁いた。
「な・ら・な・いっ!」
「くっくっく。その内注射の効き目が出てきたら分かるさ」
古代は一旦雪の耳元から顔を離した。
「とにかく、勤務が終わったら当直室に来いよ。待ってるから。じゃあな」
雪の頬に軽くキスをすると、自分はさっさと出て行ってしまった。
出て行った後姿を暫く見ていた雪は、独り言のように呟いた。
「もう、古代君たら、いったい何なの?・・・・あ、いけない、時間だわ!」
壁掛け時計の針の指す時間を見て、慌てて外科外来を飛び出した。
更衣室で素早くナース服に着替え、入院病棟のナースセンターに向かったが、すでに日勤の看護士との引継ぎが始まっていた。
「お、遅くなってすみませんっ!」
雪は慌てて引継ぎの輪の中に駆け込んだ。
引継ぎも無事終わり、仕事に入った雪は、古代からホルモン注射をされたことを半分忘れていた。
身体には何の異変も感じなかった雪だったが、患者が夕食を済ませ、食後の看護士による患者への簡単な問診に回り始めた頃から、徐々に身体が熱くなるのを感じ始めていた。
(何なの、これ?)
テキパキと消灯時間までの忙しい仕事をこなしながら、自分の身体がどんどん変化してくるのに気が付いた。
とにかく身体が疼く。
心臓の鼓動は激しくなり、触れられたわけでもないのに、秘めた部分が濡れてくるのが分かる。
心とは関係なく摩擦を求める。
(ホルモン剤って、こんなに身体が熱くなるものなの?・・・いや・・・)
思わず自分の秘めた部分に手を伸ばしそうになる衝動を必死で抑えながら、雪の頭は古代の事でいっぱいになっていた。
(早く彼に抱かれたい。早く私の身体を触って欲しい)
雪は、そんな気持ちや身体の変化を同僚や患者に悟られないように、ともすれば息が荒くなるのを必死で抑え、精一杯平静を装った。
ナースコール、2時間置きの見回り、デスクワークを時計と睨めっこしながら無難にこなし、夜勤担当の看護士へ引継ぎを済ませると、ナースセンターを飛び出すように後にした。
雪は一目散に更衣室へ入ると、素早く着替え、古代が寝ている当直室へ向かった。
当直室のドアの前に立つと、ノックするのももどかしいように、ノックと同時にドアを開け、部屋へ入った。
豆電球しか点いていない薄暗い部屋で、雪の思いを他所に、古代は幸せそうに寝息を立てて眠っていた。
いつもは愛しくてたまらないその寝顔も、今はそんなことを思っている場合ではなかった。
(もう、暢気なものね。人の身体をこんな風にしておいて、自分は平気で寝ているなんて)
雪は、古代の耳元に口を近づけ小声で言った。
「古代君、起きて。仕事終わったわ」
身体を少し揺さぶってみたが、古代が起きる気配はない。
それどころか雪の手を振り払うように向こう側へ寝返りをうち、そのまま眠っている。
「古代君ったら、起きてってば。ねぇ」
再び声をかけて、さっきより乱暴に体を揺すってみたが全く反応がない。
「もうっ!ばかっ」
雪の身体は、古代を前にして、もう我慢できない所まで達していた。
仕方なく実力行使に出ることにした。
雪は古代が掛けていた布団を勢いよく剥ぎ取った。
ズボンのベルトに手をかけ、それを一気に外すと、慌しくファスナーを下ろし、ズボンと一緒にトランクスを押し下げて、彼自身をむき出しにさせた。
まだその気になっていない彼自身を口に含むと、唇と舌を使って上下運動を始めた。
はじめ小さかったそれも、雪の口での行為に見る見る大きく固くなっていった。
古代は寝ている間に突然押し寄せてきた快感にようやく目を覚ました。
「あ・うぅ・ん・・・雪?仕事終わったのか?・・・いきなり、激しいじゃないか」
雪は大きく勃起したそこから顔を離すと、少し怒った口調で言い返した。
「何、暢気なこと言ってるのよっ。あなたが私にホルモン注射したおかげで、仕事中も身体が興奮して仕方がなかったんだからっ」
「ほぅ〜?効果てき面だった・・わけだ」
古代はすっかり目が覚めた様子で、ニヤニヤと雪を見つめる。
雪は古代の身体の上に跨ると、自分でスカートをあげる。
黒のTバックのショーツにフリルのついた黒のガーターベルト、黒のロングストッキングが露になる。
「・・・お願い、早く触って。もう我慢できないの」
雪が切ない声で訴えた。
「今日は随分と色っぽい下着だな」
古代は雪のむき出しになった尻を触りながら囁いた。
「いいから、早く・・・早く触って欲しいの」
「どうやって脱がせばいいんだ?」
「ショーツだけでいいの。ガーターはショーツの下に着ているから外さなくても大丈夫なの。お願い・・・早く」
「分かったよ」
雪に催促され、古代は右手でショーツを少し下げると秘部へ手を伸ばした。
「ああ・・」と雪がやっと得られた要求に満足するように声を上げる。
そこはすでに愛液で溢れていた。
「すげぇ、もうびっしょりだぜ」
「そうよ、ずっと我慢してたんだもの。お願い、もっと強く激しく摩って」
目を閉じ、息を荒げながら気持ち良さそうに古代の愛撫に応える雪。
ビクンビクンと体が無意識に反応し、時折、仰け反って倒れそうになる。
古代は左手で雪の背中を抱き、体を支えてやりながら、雪の秘部をいつもより激しくまんべんなく摩る。
雪の溢れる愛液と古代の愛撫に、くちゅくちゅといういやらしい音を立てる。
古代は中指を雪の蜜壷に差し込み、その内壁を指を回しながら刺激した。
「くふっ・・・あ・・んん・・」
雪の顔が快感で歪む。
声が廊下に漏れないように必死で声を押し殺しているのが、またかわいい。
古代は、左手で抱いていた雪の背中をグイッと引き寄せると、自分の膝の上に横向きに座らせ唇を求めた。
「ん・・・」
積極的に舌を求めう二人。
雪は古代の着てるシャツのボタンを上から2〜3個外した。
そこから自分の手をしのび込ませ、古代のがっしりとした厚い胸板を愛撫する。
唇を激しく求め合った後、すでにトロンとした瞳で雪が訴える。
「・・・服を脱がせて」
古代は意地悪をするように「自分で脱げよ」と優しく耳打ちする。
「脱がせて欲しいの・・・あなたに脱がされたい」
古代はクスっと笑うと、愛撫を続けていた右手を雪の秘部から離し、雪の服を脱がせる作業に入った。
雪の着ているワンピースには、大き目の黒ボタンが数個付いていた。
前開きのそれは、今夜の戯れには持ってこいの服だと古代は思いながらもボタンに手をかける。
数えるほどしかついていないボタンはあっという間に外され、雪の下着が中から現れる。
残されたのは、黒のブラジャーにフリルのついた黒のガーターベルト、そのガーターに繋がれた黒のロングストッキング、そして半分ずり落ちた黒のTバックのショーツ。
「悩殺的でいいよ、その下着」
「たまには、って思ったのよ」
「俺に見せたかった?」
「そんな気持ちもあったわ」
「じゃあ、今夜は丁度良かったわけだ・・ソレ、またつけてくれよな」
古代はマジマジと雪の下着姿を見つめながら言う。
「そんな事どうでもいいから、早く脱がせて・・・身体中を愛して」
「分かった、分かった。興奮してるんだもんな」
「責任とってもらうわ」
「とるよ」
古代はブラジャーとショーツを手早く剥ぎ取ると、ガーターベルトと黒のロングストッキングはそのままにして雪をベッドに横たえ、自分も素早く裸になり、うなじから胸、腹へと、手と唇と舌とを使って上から下へ丁寧にまんべんなく愛撫を続けた。
雪は出来るだけ声を出さないように、唇をかみ締めるようにしているが、荒い息使いからかなり感じているのがわかる。雪の白く豊かな胸が激しく上下に動く。
それを見ていた古代が、愛撫の手を休めて意地悪く雪に言う。
「雪、感じているならもっと声出せよ」
「バカなこと言わないで・・外に・・聞こえちゃう・・」
「いいさ、聞こえたって。どうせもうじきこの病院ともおさらばなんだからさ」
「イヤよ、恥ずかしいもの・・・それよりも、早く・・して・・」
雪の言葉に古代はクスッと笑い、再び愛撫に没頭した。
古代の舌が雪の茂みにさしかかるところまで来た。
「雪、ここも舐めて欲しい?」
古代は、ちょんと指でクリトリスをつついて聞いた。
「・・・意地悪しないでよ、分かってるくせに」
「たまには言ってほしいんだよ。なぁ、舐めて欲しい?」
「・・・舐めて」少し恥じらい気味に答える。
古代は雪が膝を曲げて足を開いたのを見て、その茂みに顔を埋め、左手で雪の腿を押さえた。
右手は真っ直ぐ上に伸ばし、乳房をやんわり握りながら、親指の腹で乳頭をクリクリと転がす。
「あふ・・・ん」
秘部を這う熱い古代の舌の感触と、手を使った乳房への同時の愛撫の快感に、雪の身体が背中を浮かせて仰け反る。
古代は丁寧に雪の花弁、クリトリス、蜜壷、そしてさらに下のほうからも丁寧に舐め上げ、吸って雪をさらなる快感へ誘っていった。
喘ぎ声を必死で抑えながら、雪の手は「もっと」というように古代の頭を押さえ、古代の髪を優しくなでる。
雪は、古代の手と舌を使った執拗な攻めに、陥落一歩手前だった。
「もう・・ダメ。早くあなたが欲しい」
「ん、俺も早く入れたい。このまま・・いいか?」
「いや・・今日は私が上になりたいの」
「雪が上か・・俺、弱いんだよ、あの体位」
「今日は自由に動きたいの、強く、激しく、感じるままに・・・。私をこんなにさせたのは、古代君なのよ」
「分かったよ。でも、お手柔らかにしてくれよな。長く持たないぜ」
「いやよ、お手柔らかになんてできないわ。興奮してどうしようもないの」
雪は身を起こすと、古代の腕を引いて横たわらせ、再び上に跨ると古代の固くそそり立ったものを右手で掴み、静かに自分の秘所に挿し込むと、グッと奥まで深く沈めた。
「あ・・ん」
雪は、古代の胸の上に両手をつき、身体を突き抜ける快感に顔を仰け反らせた。
古代の口からも、低い喘ぎ声が漏れる。古代が両手で雪の乳房を愛撫すると、それを合図にするように、雪が激しく腰を上下に動かし始めた。
はぁはぁとお互いの荒い息遣いが部屋に響く。
雪は腰を上下に動かしたり、時には回すように動いたりして、自分の感じる所を存分に味わうように自由に動いている。
雪の乱れた表情、身体の動きと共に揺れて乱れる雪の髪がとても美しい。
古代は夢中で雪の乳房を指と手の平を巧みに使って愛撫を続ける。
抑えてはいるものの、雪の口からは絶え間なく喘ぎ声が漏れ続けた。
長い時間我慢していたせいか、雪の激しい腰の動きはなかなか止まらなかった。
「古代君・・いい・・どうにかなりそう」
固く閉じていた瞳をうっすらとあけて、息を荒げながら訴えた。
「雪・・・俺ももう限界みたい・・・イけそうか?」
「・・・う・・ん・・」
古代は、最後は自分で突き上げたくて、雪の身体を支えたまま横向きに寝かすと自分の体とクロスする体位に持ち込んだ。
雪の片足を軽く持ち上げて、足を開かせ、強く激しく腰を前後に動かし始めた。
古代が突き上げるたびに、身体の中を駆け抜ける快感だけが雪を支配し、抑えていたはずの喘ぎ声が雪の口から徐々に大きく漏れ始めた。
「あっ・・あぁっ・・ああぁっ・・ああぁんっ・・」
次の瞬間、至福の時を迎えた二人の歓びの声が狭い当直室に響いた。
「ああぁっ・・・くぅぅっ・・・」
古代は、雪の中に自分自身を残したまま、横向きになった雪の身体を抱き寄せながら、自分の身体を仰向けに直すと同時に雪を自分の上に座らせた。
自然と雪は古代の体の上に倒れ掛かった状態になる。
痺れたような感覚、そして穏やかな海原に抱かれているような錯覚。
足を開いて古代に倒れこんでいるので、雪の秘部に古代の茂みが刺激となって触れる。
荒々しい息遣いの中で、いつにない満足感と心地よい疲れ、そして余韻を二人は楽しんでいた。
古代は雪の背中に優しく手を置き背中を摩ってやる。
「今日の雪の興奮・・・すごかったな」
「古代君が私にホルモン注射なんてするからよ」
「あの薬・・・いいかもな」
古代が独り言のように呟くと、それを聞いていた雪が預けていた身体を気だるそうに起こして反論した。
「冗談じゃないわっ。勤務中身体が火照って、息苦しくて仕方がなかったんだから!」
「でも、感じ方はまんざらでもなかったんだろう?」
「2度目は御免よ。・・・古代君が自分で使えばいいのよ」
「俺が使うのか?」
「そうよ、どんな風になるのか、古代君も味わってみればいいのよ」
「そうだな、試してみてもいいか・・だけどさ、今日の雪を見てて思ったけど、俺が使ったら・・雪を壊しちゃうかもしれないぜ?」
「ん・・・もうっ、とにかく、今後一切使用は禁止です!」
「分かった、分かった。もう使いません」
雪の強い口調に言葉では引き下がりながらも、頭の中で考えていることは違っていた。
(雪が眠っている時にでも、こっそり使うかな。・・・ワルだな、俺も)
もう一人の自分がにやりと笑った。
「ところでさ、今日はこのままここに泊まっていかないか?」
「それは無理よ。急患が来るかもしれないのに」
「“急患が来るかもしれないのに”だってぇ?おい雪、俺達今まで何してたんだよ、ここで?」
「え?・・だって・・それは・・古代君が・・」
「俺だけのせいにするなよ」
「・・だって古代君が初めに・・ホルモン注射を・・」
「我慢できなかったのは雪、君だろう?」
「・・だって、それは・・・もうっ・・知らないっ」
雪が真っ赤になって古代に反論すればするほど、その様子をにやにやしながら見ている古代には可笑しくてたまらない。
「と、とにかく・・今日はもう帰るから」
雪が気を取り直して古代に言う。
「そうだな。いつ急患が担ぎ込まれるか分からないもんな。いきなりドア開けられた時に雪とSEXしてるのを夜勤の看護士に見られるのは、やっぱりまずいよなぁ・・くっくっくっ」
「もう〜〜〜っ!いい加減にしてっ」
半分起き上がった古代の胸を拳で叩こうとした雪の両腕を、古代が押さえつける形で雪はそのままベッドに押し倒されてしまった。
古代はそのまま暫く雪を見つめ、やがてついばむように唇を重ねてきた。
そしていつになく甘い声で囁く。
「・・今日はすごくよかったよ、雪・・」
もう一度唇を重ねた後、半分にやけた顔で雪に言った。
「今度は違う薬、用意しておくからさ、小島に行ったら試してみようぜ」
「もぉ〜〜〜〜っ!!」
古代は薄ら笑いを浮かべたまま、雪の口の前に人差し指を押し当てながら言った。
「そんな大声出すと廊下まで聞こえちゃうぞ。いや、もう聞こえてるか・・さっきの雪の声、大きかったもんな〜」
古代の言葉を聞いて、雪の頬が赤く染まった。
「だ、だって・・」
「どうせここにはあと3日しかいないんだし、朝まで時間もたっぷりあるんだ。今夜はこのまま楽しもうぜ、雪」
FIN