5食分のゴミ拾い

 今年の24時間テレビはごらんになっただろうか。私は人が喜怒哀楽する姿を見るとその影響を思いっきり受けてしまったりするのであまり見なかったのだが、そのコーナーの一つに100kmマラソンというものがあった。芸能人が100kmを走るというそのままの名前の企画なのだが、今年は杉田かおるが走った。

 数キロ走ったことがある人なら、走ることがどれだけ大変かわかるだろう。つらいと感じるか感じないかは別であるが、大変だと言うことはそれなりにエネルギーを消費するのである。手元の資料によると、「1km走って消費するカロリー=走る人の体重」なのだそうだ。つまり体重60kgの人が1km走れば60kcal消費する。成人女性の一日の標準摂取カロリーが1600kcalであるから、体重40kgの人なら40km、50kgなら32kmほど走ればそれだけで1日分消費する。

 今回は100kmである。私は彼女の体重を知らないのだが、見た目から行くと50kgくらいだろうか。50kgだとすると、100km走れば5000kcalを消費したことになる。1食のカロリーが600kcalだとするとおよそ8食分である。普通に生活していて、1日に3食を食べるとすると、5食も多くに食べる必要があることになる。

 裏付けはとれていないが、100kmを走りきったことは確からしく、それは称賛に値するかもしれないが、彼女は単純計算でも5食分のエネルギーを無駄にしている。100km走ることで社会に貢献できるだろうか。いや、貢献できまい。それどころかかえって迷惑であるかもしれない。裏方には相当の人手が必要であるし、100km走ることで発生する無駄は多い。働く場所が増えるのは確かに良いことだが、それならもっと仕事の無い人を連れてくるべきだ。が、何故だかそうしない。

 これを見て感動する人は騙されていると私は思う。100kmを走ることは非常につらく、苦しい。しかし、本当に苦しんでいる人たちは、自分から進んで苦しもうとしてはいない。仕方も無く、苦しんでいる。これらの違いはそこにある。自分から進んで受ける苦しみはただ、自分のためでしかないと、私は思う。オリンピック選手の中で、見ている人たちをを感動させるだけのために頑張っている人がどれだけいるだろうか。決していない、とは言えないが多くは巡り巡って自分のためでは無いだろうか。そのあたりは自分の心に問いかけて見て頂きたい。ただ私が、河原のゴミ拾いをしている人たちがしていることは、自分たちの名声や利益のためだ、と言いたいわけではないことも分かって頂きたいと思う。

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