G{gravity}

 重力、または重力を表す単位。地球上で通常は1G。

 例えば、60kgの人が、1G(通常の地球上)では60kgW(キログラム重)だが、2Gの環境下になると、120kgWとなり、2倍の重さとして感じられることになる。

 F1では、コーナーリングの際には横に数G、また、加減速時にも前後に数Gを受けることになり、特にその影響に直接さらされる頭部(首)を鍛えることは、ドライバーとして絶対条件である。

 ちなみに遠心力は、等速円運動(つまり一定の速度で回ること)に必要な向心力の大きさと同等で、

 F = mv/R

  F:力(N) m:質量(kg) v:速度(m/s) R:回転半径(m)

で求められる(ただし、得られる値はN(ニュートン)で、力の単位。Gにするためには、N/kg・9.8が必要)。つまり、物が重ければその分大きくなり、回転半径が半分になれば遠心力は2倍になる。また、速度の2乗で大きくなるため、速度が2倍になれば遠心力は4倍、速度が3倍になれば遠心力は9倍になる。

 車が路面を走るとき、遠心力を支える力(向心力)を持つのはグリップ力であり、グリップ力は摩擦係数とダウンフォースで決まる。そのため、質量(重さ)と回転半径が一定だとすると、グリップ力が大きいほどより速くコーナーを曲がれることになる。ちなみに、グリップ力が4倍になれば、2倍の速度で曲がれる計算になる。そのため、コーナーの多いテクニカルコースでは、ダウンフォース量が大きなポイントとなる。

 また、グリップ力が一定、すなわち向心力が一定の場合、質量が軽いほど速くコーナーを曲がれることがわかる。従って、レーシングカーにとって「重さ」は大敵なのだ。ちなみに、空力によるダウンフォースという物が存在していない状態ならば、質量が2倍になればグリップ力は2倍で、同じ半径で同じ早さで回る時の向心力も2倍で釣り合うが、空力によるダウンフォースが加算されると、重量が2倍になってもグリップ力は2倍にならない(例えば、質量が1で空力ダウンフォースが1ならばグリップ力が2とすると、質量が2で空力ダウンフォースが1ならば3にしかならない)。そのため、やはり重さは「敵」なのだ。

 また、質量と回転半径が一定(通常はこの状態)とすると、速度が速いほど受ける遠心力も大きくなる。つまり、あるコーナーをより速く走ろうとすれば、その分だけグリップ力が必要となり、また、ドライバーが耐えなければならないGも大きくなることになる。

 せっかくなので、ちょっと計算。(改装されてなくなっちゃいましたが、)鈴鹿の名物コーナーだった130R(半径130m)を、速度100km/h(約28m/s)で駆け抜けたとする。頭の重さ+ヘルメットの重さを10kgとすると、ドライバーの首が耐えなくてはならないのは、

 10×28/130 = 約60N = 60/9.8kg = 約6kg

となり、6kgに耐えなければならないことになる(質量が10kgなので0.6G)。6kgといえば、2リットルのペットボトル3本分の水の重さである。速度が2倍(200km/h)になれば、6×2 = 6×4 = 24kg(2.4G)に耐える力が必要となる。

 もう一つ、加減速時には、

 F = m×a  F:力(N) m:質量 a:加速度(m/s

という力が働く。つまり、物が重ければその分大きくなり、加速度・減速度が大きければその分大きくなる。

 ということは、グリップ力が同じなら、軽いほど加速度は大きくなり、より早く加速・減速ができるようになる。

 また、重さが同じならば、グリップ力が大きいほど加速度は大きくなり、より早く加速・減速ができるようになる(ただし、どちらもエンジンパワーやブレーキ性能の範囲内という制限があるが)。

 つまり、加減速においてもグリップ力は重要で、重さは「敵」なのだ。

 ちなみにこの式は、クラッシュしてどこかにぶつかった時にも適用される。つまり、ものすごい「急停止」をさせられる訳なので、ものすごく大きな減速度(反対方向への加速度)となる。ここで重要となるのが「急停止させられる時間」で、その距離の間で一定の加速度を持った場合、例えば、100km/h(28m/s)を1秒で止めた場合、その加速度は

 28/1 = 28m/s

となる。この時、60kgの人間が受ける力は、60×28 = 1680N = 約171kg。つまり、2.8Gとなる。0.1秒なら10倍の28Gだ。従って、事故の際、如何にして「ゆっくり」と車を止めるかが重要となるのである。


グリップ力
ダウンフォース



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