具顕、国交の無い国に行って見たりする

 

  3時間で着くのに国交が無い国、台湾(国名 中華民国)。朝鮮半島と同じように日本人総督の統治した土地でありながら、結構日本好きの国、台湾。

 行ってみてぇなぁ、見てみてぇな。と昔から思っていた国ではありました。

  そんな折、台湾に旅行する機会がやってきました。「鴨が葱しょって鍋に入ってる」じゃぁありませんか。職場に全員そろう大事な日が含まれていますが「行っておいで」との上司のありがたい言葉にさてもありがたきかな、と日本を後にしたのです。待ってろ、台湾!!!!

 

初日

さぁ、生まれ育った町を出て、いざ向かうは近くて遠き国。出勤以外の早起きが大嫌いな私も今回は上機嫌。

集合場所からバスに乗り、さぁ、向かうぞ、セントレア(中部国際空港)!!!バスで片道三時間〜。・・・・・・ン?何故セントレアまで3時間?津港から船で40分くらいという話を聞いた事があるが?何故陸路?何故倍の時間をわざわざかける?ん?ん?ん?と思ってる間に着くもんですよ(笑)

荷物を預けて出国審査をして、さぁ飛行機がくるまで一休み。そこでやなことを思い出してしまったのです。「名古屋から中華航空の飛行機に乗る」ということに。はずみ以外で落ちるものか、とは思っているのですが・・・・・・・・・。

 などと1人で考え込んでいるといつの間にか飛行機に乗り込んで離陸してましたです。まぁ飛んじまったら、見ず知らずの他人を信じるしかないねぇ。

 3時間後、無事に台湾中正飛行場に着陸いたしまして、バスで移動となるわけですが。このバスがクサイのなんのって!!!異臭ではありません。必要以上に芳香剤がきついのですよ。逆に鼻がひん曲がるっ!!!みたいな感じです。こんだけ香がきつかったらタバコくらい吸わせてもいいようなものなのですが、車内禁煙なのですよ。車中早速言われた事は「時計の針を一時間戻しましょう」時差があるのね、台湾。確かに3時間乗っていたのに2時間しか経っていない・・・。

 まずはちょうどお昼時間なのでご飯を食べましょう、ということで連れて行かれたのが「石鍋料理」のお店。まぁなんのことはない鍋料理です。石のお鍋でちゃんこを作ってるようなものですね。寄せ鍋的でしたが私は寄せ鍋がダメなので(海鮮が入った瞬間にダメなんです)かろうじて食べたという感じ。鍋が空になるとそのスープでラーメンが出てきます。是は美味しかったです。うん、出汁が大事だもんねぇ。さすがにおなかいっぱい。と思ったのです。そうしたら店員さんが、ラーメンがなくなった鍋にご飯を放り込むじゃありませんか。「雑炊」を食べろってか!!!味はいいんですけどねぇ、ラーメンの後に食べるのは辛いですよ・・・。

 食後はいよいよ最初の観光です。行き先は中正紀念堂。初代中華民国総統・蒋中正(字は介石)の巨大なブロンズ像が祀られているそうでございます。

いざ現地に着いてみると「デカッ!!!」皆さんにははじめて東大寺大仏殿を見たときの感想を思い出していただくとよろしいかと。建物がでかいのにまた階段が多い事。蒋介石が89で死んだので89段とか。もっと早く死ねばよかったのに・・・などと罰当たりな事を思いながら入ってみると「こんにちは!!!」と笑顔の巨大な蒋介石氏がお出迎えですよ。ふもとには台湾軍の衛兵さんが二人番をしてるんです。全く動きません。ピクリとも動きません。瞬きもしません。マネキンみたいです。近くによると質感で人間とわかる感じ。軍人さんは気合入ってますねぇ。蒋介石像は西(大陸、おそらく南京)を向けて建てられています。「大陸反攻」を臨んで亡くなった方らしいです。「吉野で死んでも、魂は京都を望む」といって北面した御陵にはいられた後醍醐天皇を思い出しますね。アメリカや日本に裏切られてさぞかし悔しかったろうな、毛沢東より先に鬼籍に入って悔しかったろうな、張学良に見送られて複雑だっただろうな。

その後は、免税店でお買い物。しつこい店員さんに愛想を振り撒きつつ、逃げまわって、それでも土産を買い込んで、ホテルにチェックイン。どーんと「シェラトン」にご宿泊。が、このホテル日本でいうと霞ヶ関や永田町に建ってるんです。近所には警視庁やら国会議事堂やらが並んでる。・・・・・落ち着かないなぁ。その後は夜市に行きましてね。夜店みたいなものかと思ったら、そんなもんじゃない。にぎやかなものです。ここは台湾の原宿です、なんていわれてました。バッタモンがならんでて面白かったですよ。漢方屋とか寄ってみればよかったなぁ。夕食は・・・・・・触れないでおきましょう、だって何を食べても同じ味がするんだもの。

中部国際空港。通称セントレア。船でいきゃ早かったんですけど。

中正紀念堂。蒋介石を祭る建物。国祖を祭るということでは、樫原神宮とかに近いかもしれません。

蒋介石像。後醍醐帝よろしく、復帰を夢見て死してなお大陸をにらむ。

 

2日目

目が醒めたのは午前5時。なぜ?答えは・・・・体内時計が日本時間だからです。日本は6時、起きない事も無い時間。同室の奴はまだ寝てる。しょうがない、こいつをマンウォッチングだ。寝返りは何分感覚で、寝言でも言うかな・・・・・。

朝食はバイキングなので、勝手に行って勝手に食べるんです。1人で行ってモーニングティーを楽しみつつ部屋に戻るとまだ寝てる。もう、起こしちまえ!!!テレビでニュースを見てバタバタ準備をしたら出発です。

最初は「忠烈祠」、日本でいうところの靖国神社ですね。こちらは国家管理です。衛兵さんの交替式が有名なのですが、まぁ時間のかかること、一歩一歩確実に進み、途中で止まって銃剣で礼式(ちょっとした振り付け)をとる。うーん。軍人さんはこの暑いのに文句を一つも言わずに一生懸命行進してるよ。感心するぞ、どこぞの自衛隊に爪の垢でも飲ませたいですな。

次に行ったのは、・・・・・・免税店でしたかね・・・。また土産屋のオバチャンと追っかけっこです(笑)。めんどくさいなぁ。ここで家族のお土産を買いました。恐るべし、カード決済。次々と高額なものを指差していく自分がいました。気をつけましょう。

そうこうするとお昼になりまして、お昼はモンゴリアンバイキングです。何で台湾で蒙古食を食べるんでしょう。要はジンギスカンですな。肉と野菜を取ってたれを自分で作り、コックさんに渡すとでっかい鉄板で焼いてくれるんです。自分の味付けですからね、まぁおいしいですよ。

お昼からはいよいよ「故宮博物院」ですよ!!!!これを見に台湾にきたといっても過言じゃない、これを見ないなら台湾にきた意味が無い!!!その時に添乗員さんから一言「滞在は1時間です。」・・・・・・・・ハ?さらに「雨漏り工事をしていて閉まっている所が多いんです」・・・・・・・あぁ・・・。

しかし何にしても見られることは幸せなことだ、と思い込み入館しました。本当に一つ目のスペースしか入れないんです。時間が無い、物が多い、ガイドの説明なんぞ聞いてたら全部見られない。そこで私のとった手とは「全てチラ見」です。とにかく一通り目を通す、そしてすばやくガイドブックを買う。ガイドブックを見て思い出せなかったら、たいしたものじゃない。自分の目を信じるしかないですね。おかげで散氏盤やら玉璧やらをみられたので多少は満足です。自分でまた行こう。

 麗しの故宮を去り、次に向かうところは釣堀です。何故釣堀。日本の釣堀とちっとばかり訳が違う。魚じゃなくて海老を釣るんです。本式のさおでザリガニを釣ってるシーンを想像してもらえたらいいかと。まぁつれるものじゃないです。「いるのか?」確かに釣ってる人はいるんですけどねぇ。何で釣れるのかがよくわからない。餌は鳥のレバーか、こえび。結局「坊主」でありました。台湾で坊主って通用するのかなぁ?

 ひとしきり遊んだら「おやつ」ですな。今回のおやつは!恐れ多くも勿体無くも大清帝国皇帝陛下や皇后陛下が食されたという「宮廷菓子」でございます。和菓子に近い感覚です。美味しかったですよ。確かにお茶請けにはぴったり。さぁ小腹も膨れたのでホテルに帰り夕食に備えます。夕食は「新台湾料理」でございます。レストランはものすごく凝ったつくりで、しかもテーブルは満貫全席(字、是でよかったかな?)が出てくるようなどでかいもん。期待はしますよ。

結果はといえば・・・・またおんなじ味。フカヒレもなにもかもが!!!!おんなじ味。何でおんなじ香辛料使うかなぁ。

 がっかりして、その日の晩も寝ましたとさ。そうそう元迎賓館の「丸山大飯店」は外から見ました。入れてくれないんですって。

故宮博物院。民国政府が台北遷都の際に、一切合財盛って来た、中国の文化財がいっぱい。

工事中。なのでほとんど見られない・・・。

忠烈祠。こちらはわかりやすく靖国神社です。しかも官営です。

 

 

これは紀念堂の衛視ですが、ピクリとも動かない。触りたい衝動が出てきますが、銃を突きつけられて捕縛されますので(笑)

 

 

 

3日目

 本日は自由行動です。つまり時間を気にしなくてもよい。ということで終日観光としゃれ込みました。

まずは行天宮、関帝廟ですね。日本で孔子廟はいった事あるんですが道観ってのははじめてですので。行ってみるとお線香の香と供物がいっぱい。みんな一生懸命拝んでる。神主としてはここの道士は羨ましい。

 近くには占い横丁なるものがあり、当然占ってもらいました。結果「32歳まで目が出ない」だって・・・・・・。もう少し、と喜ぶべきか、今までは、と悲しむべきか。でも32歳から運気はよくなるんだそうで。お金には困らないそうです。女性関係は・・・・「今までは遊び相手」だそうで・・・・いつも真剣でしたけどねぇ。

 お昼はスターバックスです。いや、美味かった。その後は世界一高いビルといわれる「TAIPEI101」を見に行きました。確かにでかいです。中身は急いで入れたんでブランド店ばっかりでした。うーん、台湾人も物を買わずに記念撮影してる・・・。ビルの回りでは電脳市をやってまして、パソコンを抱えている人が多数。秋葉原に行ったみたい・・・。

 いったんホテルに帰り、着替えた後、仏教寺院・龍山寺へ。台湾でも有数の古刹だそうです。見た目は道観と変わりません。ライトアップされてちょっと引きました。やっぱり早朝に見にこよう・・・。

 寺の近くは昔の色街があったそうで、なんか庶民的。そこであしつぼマッサージの看板。値段は格安。せっかくだからやっていこうかな。この決断が悲劇を招くとは・・・。まずは薬湯に足を浸してそれからツボを押さえるんですが、まぁこれが痛いのなんのって!!!!!でもぴったり当たってるんです。のどと膝。まさにドンピシャ。恐るべし東洋医術。

 夕飯は近くの吉野屋で。・・・美味い。涙が出るほど美味い。ああ、俺ってつくづく日本人。

このポスターが町のあちこちに。「戦時」ってこういうときにわかりますね。

関帝廟。道教の道観ですね。

モノレールの駅。都会の地下鉄よろしく大変便がいいです。

 

最終日

 いよいよ台湾を去る日です。まずは朝一で龍山寺にリベンジ。朝もやに煙るお寺には少数のお年寄りが一生懸命拝んでる。これがお寺のあるべき姿ってもんです。庭には鯉が泳ぎ、読経の声が響く。線香の煙りはまっすぐ上に上がっていく。うーん、絵になる。

 免税店によってから、小龍包を食べに行きました。あれ「熱い」って話だったんで気をつけて食べたんですが、あんまり熱くないです。シュウマイ餃子も出てくるんですが、順番が決まっててしかも何個食べなさいという指定もあるんです。食べた気がしないよ。

 そして飛行機に乗って「スッチーは日本人がいいね」などと思いつつ、帰国したのでありました。無論「何で鉄の塊が飛ぶんじゃぁ〜!!!」という悲鳴を台湾の空に残して・・・・・・。

外に出る