第1巻

1.     階位と身分

とりあえず私の持つ「明階」ってなんやねん?というところから始めませう。現在の神社界(神社本庁)における神職は階位というものがあります。浄階、明階、正階、権正階、直階の5つです。この中で浄階というのはある程度年数を経た経験豊富な神職に授与されます。明階以下は検定(試験と無試験があります)の結果でいただけるものです。私の場合、元官立大学出身でありますので無試験でありました。講義を受けて単位を取って書類審査と言う奴ですね。ええ、検定料は払いましたよ、納得して。でもねぇ、授与料10万円てどういうこと?しかも書類1文字でも書きそこねるとまた一式買わなきゃならないんです。貧乏学生には辛かった・・・。

それはともかく、明階は他のものとどこが違うのかっちゅうことです。試験で取れる最高級の階位であります。あと、別表神社と言われる神社(いわゆる元の官幣国幣社)の宮司になれます。

もっとも、神社に行かなきゃ宝の持ち腐れなんですけどね。

これとは別に身分と言うものがあります。特級、一級、二級上、二級、三級、四級というものです。権正階以上をもってる人は神社に入ると否応無しに三級になります。いやだって言ってもなります。この級で神職さんの袴の色が違います。特級の方は白に丸の藤紋が入ってます。級のない「出仕さん」(見習ですな)は真っ白の安っぽい奴ですわ。よくありますよね。学園ヒーロー物で学園長が用務員のおっさんをやってるってパターン。あれが起こり得ます。こういう話があります。とある神職さんが学生時代神社奉仕に行ったときに自分と同じ袴をはいてるお爺さんに「爺さん、きついけど頑張ろうぜ!!」と声をかけて肩をたたいたそうです。その後、その神社の面接に言った時、一番真中に座っていた宮司さんは昔声をかけたお爺さんだったそうな。こんな話が本当にあります。怖いですねぇ。今回はここまで。

2.神社本庁とは?

神社本庁ってなんやのん?と思う方のほうが多いのではないでしょうか?謎の世界ではありますね。階位をとるための実習では3日間本庁に出向いてのものがあります。ここでは神社本庁について紹介しましょう。

神社本庁。一言で言ったら「神社神道の総元締め」です。宗教法人法に言うところの「非包括法人」であります。神社本庁の目的として@敬神尊皇の教学を興す。A神職の養成・研修B氏子崇敬者の教化育成があげられましょう。

組織としては総裁、統理、総長、副総長、常任理事、理事、監事、評議員会、顧問、参与等がございます。総裁は神宮の祭主であります。その他の役職は大体他の宗教法人と一緒なんじゃないかな?

後は研修所、教学研究所、事務総局があります。

余り組織の説明はしたくないのでここで終り。

次回は私が受けた明階取得のための講義について説明しましょう。これで神道は何を以って成り立っているのかわかるかもしれません。

3.特別講義「神社の作り方教えます。」

今回は河内判官様とこたつ城主様からリクエストをいただいた「自分んちに神社を作るにはどうしたらいいのでしょうか?」と言う質問にお答えしましょう。

ここで問題になるのは宗教法人としての神社を作りたいのか、唯の社を作りたいのかと言う事です。

後者ならいたって簡単ですよ。神具店に行って屋外用の社を購入、崇敬する神社なりなんなりの神札を受けてきてお祭りすればよいのです。要は神棚を庭に作ると思っていただければ大いに結構です。もっとも、そんなのでは納得いかないのなら、例えば崇敬する神社を勧請したいという場合はその神社と掛け合って御霊分けしていただかなきゃ、しょうがないですね。知り合いの神職、もしくはそういう資格をもっている人に遷座祭、分祀祭をしていただいてもよいのでは。分祀祭なんかやった日にゃ大事です。ただ、こういう場合は「神社」とは言いません。少なくとも神社本庁の規定には沿いません。なんにしてもまず、地鎮祭をして建物を建てる、神様をお招きする。そしてお祭りを欠かさない。あ、自分の土地でやってくださいよ。よその土地にやっちゃダメですよ。あくまでもご自分の屋敷内に創建してください。

さて、そんじゃぁ、そのお社を宗教法人としたい、もっと神社らしくしたいと言う場合はどうしたらいいでしょうか。神社本庁に認めていただくには境内地百坪以上、本殿(神様をお祭りするところ)、拝殿(拝むところ)、手水舎、鳥居を備えてなきゃいけません。後職員が要りますね、当然。宮司、権宮司、禰宜、権禰宜、楽師、技師、守衛、森林監守などなど。後、氏子崇敬者も必要です。神社規則も作らなきゃいけませんし、祭神とかいろいろ書いた明細書も作らなきゃいけません。団体ですから規則だって必要ですよ。本庁を突破しても今度は都道府県に認可をもらわなきゃいけません。登記もしなきゃいけません。大変ですねぇ。神社本庁傘下の法人になる気がないなら別に建物建てなくてもご自分のうちの部屋を床の間をもしくは家を本殿なり拝殿なりにしてしまえばいいでしょう。(要は礼拝施設があればいいのです。)

こんなところかと思います。また付け加える事があれば随時付け加えます

4.神道教典のご紹介

  ありません。そんなもの。啓典宗教じゃないんですから。神様は教典なんかくれません。仏教みたいにお釈迦様が説教したわけでもないし、キリスト教やイスラムの神様みたいにわざわざ預言者に教えてくれるわけでもありません。

でも神道に関連して書かれた本はたくさんあります。「古事記」「日本書紀」は言うに及ばず、「万葉集」「古語拾遺」「先代旧事本紀」この他にも律令格式、御成敗式目なんて言うのも神道経典にはいるんですよー。やになりますね。

昔、神社本庁に研修に行ったとき3分間スピーチで「神道には問題が二つある。1つは教典がない。2つは氏子に頼りすぎ」といって、先生の頬を引きつらせた覚えがあります。国学院の学生もいたんですけどひいてました。

個々の教典についてはいいでしょう。次回は氏子と崇敬者について。

5.     氏子と崇敬者

  氏子と崇敬者はいわゆる信者です。氏子は地縁血縁で結ばれた方という事になりますか。引っ越してきてすぐの方も氏子になったりしますんでどうかとは思いますが。崇敬者はその神社を崇敬する人です、字の如く。私は思うんですけども神社界は氏子一辺倒のような気がします。でもそれじゃダメだと思うんですけど。前回「教典を作れ、氏子に頼るな」といって話をしました。それは阪神大震災があったからなんです。あれで神戸の多くの神社が倒れた事でしょう。信者の方が一番心のよりどころにするのはおそらく教典でしょう。しかし神社にはそれがない。神社復興させようとしてもそれを支える氏子も既に壊滅してるんです。こんな事では神社界はなくなっちゃうんじゃないかと思います。

だから、崇敬者を大事にするべきだと思うんですけども。お偉方はそんな気サラサラないみたいでネ。いまだに国家神道引きずってる感じがします。情けないやら腹が立つやら。

6.     神道の装束を買ってみるなら

  今回は神社でお祭りをする時に、身に付ける装束を買うときに一体幾ら位かかるのだろう?と言う事を述べる事としましょう。

  まぁ、例祭とか大きなのじゃなくって車のお払いとかする時にね、つける奴です。一番高いパターンでいきますよ。

  まず、狩衣です。あの、吉良上野介が松の廊下で着てた奴ですね。ア、最近は大紋ででてますね。正絹の特等品です。金100,000円です。

次に、襦袢。中に着る下着みたいなもんです。天竺木綿の並寸のもの、金45,000円なり。

袴も買いましょうか。色差袴、水色のものを買いましょう。正絹の48,000円です。

烏帽子も買いましょうね。張貫立烏帽子の上で22,000円します。それに笏。黒壇のいいものを買いましょう。18,000円。浅沓も要ります。あの、カッポンカッポンなりそうな沓です。張貫のものが35,000円。

後、足袋もいりますよ。素足じゃいけません。1,000円です。そうそう、帯も要りますなぁ。紬のものが1,800円します。

さぁ、こんだけいりますよ。しめて287,000円なり。プラス消費税で301,350円です。

高いなぁ・・・。

7.     神社の社格

  神社には「社格」というものがありました。社格ってなんでしょう。

「式内社」というのがあります。これは「延喜式神名帳」というものに記載されてる神社です。神祇官・国司が祀る神社です。これに入らないものを式外社といいます。このうち神祇官が祭るのが官幣社、国司が祀るのが国幣社、案上に幣を祀るのが大社、案下の幣を祀るのを小社があります。このうちに名神祭という国家の事変に際して行なわれる祭りを行なう神社を「名神社」と呼びます。

  「一の宮」というのもありました。これは地名になっているところもありますしね、馴染みやすいんじゃないのでしょうか。愛知の一宮、神戸の三宮などなど。これは定説がないんですが国司が赴任した際に国司が祀るべき神社を参拝する順に決めておき、その一番初めのが一の宮です。もっと進むと国内の神社を全部勧請しちゃって「総社」というものを作ったりしました。

  律令制度の崩壊とともにお祭りもされなくなってくるんです。それでも続いてお祭りをされる神社も数社ありました。22社あったので「二十二社」といいます。

  明治になると官幣社、国幣社、府県社、村社、郷社、無格社という社格ができます。この他にいわゆる護国神社、別格官幣社というのがあります。

  戦後、いわゆるところのGHQの改革によって社格はなくなりました。現在では旧官国幣社、護国神社を「役員の進退に関する規定」の「別表の掲げる神社」として特別に扱っております。

  こんな感じでしょうか。

8.     神社のおまつり

神社というのは何をするところかと言うとお祭りをするところです。そのお祭りと言うのは大祭中祭小祭の3つに分かれております。

大祭と言うのは、毎年一回決まって行なう「例祭」、豊作を祈願し、また感謝する「祈年祭」「新嘗祭」、決まった年に行なう「式年祭」、祭神の御動座に関する「鎮座祭」「遷座祭」「合祀祭」、御霊わけを行なう「分祀祭」です。

中祭は「歳旦祭」(1・1)「元始祭」(1・3)「紀元祭」(2・11)「神嘗祭当日祭」(10・17)「明治祭」(11・3)「天長祭」(現在12・23)です。

その他のお祭り、車の祈祷とか厄除けとか七五三とか初宮参りとかのお祭りが小祭になります。

それぞれやる事が違います。今回はこれでお茶を濁そう・・・。

9.     修祓

皆さんは修祓って知ってますか?お祭りの前にやる奴なんですけども。いわゆるお祓いです。

まず祓詞と言う祝詞を唱えます。「掛麻畏伊邪那岐大神筑紫日向橘小戸阿波岐原御禊祓給時生坐祓戸大神等諸禍事罪穢有祓給清給登白事聞食恐恐白(かけまくもかしこきいざなぎのおおかみつくしのひむかのたちばなのおどのあわぎはらにみそぎはらえたまいしときになりませるはらえどのおおかみたちもろもろのまがごとつみけがれあらんをばはらえたまいきよめたまへともうすことをきこしめせとかしこみかしこみももうす)」というやつです。学生が緊張してると「はらえたまいけがれたまえ」なんて言っちゃうんですね。

そのあと大麻と塩湯で祓いするんです。

禊は水をそそぐことで穢れを祓うこと、祓えは罪穢れに対し代償物を出し、それを贖うという意味もあります。

10.巫女さんの事

巫女さん、良い響きです。神社に吹く心地良い風,それが巫女さんです。赤い袴に「神社は硬いところだ」と思い込んでいるかのような硬い表情,それが時折崩れて素敵な笑顔を見せる。お仕事はいわゆる雑用が多いですね。巫女さんは可愛い人が多いです。綺麗な人もいますがどちらかというと平安美人が多いような気がします。もっともドキッとするような方もいますがそういう人はえてして「絶対紫の口紅つけて夜の港で『夜露死苦』とか書いてたよな〜」という感じがします。

よく,巫女さんプレイなどを話題にする人がいますがそんな事できません。怖いですからね。

あと,巫女さんとお酒飲んで仲良くしたいならお酒強くないとダメですよ。向こうはお酒と縁が深い神社にいるんですから。