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早朝、駅に向かって猛ダッシュをかけていた

流れ落ちる汗、早朝というのに、この国の太陽は容赦ない

 

中華街の路地を駆け抜け

住民の皆様には何事か?と怪訝な顔で見送られる

朝食で食べた、あらゆるものが胃を振り子の様に揺する

 

 

何をコンナに急ぐか?

それは、列車の出発が迫っているからなのだ

 

目的地へと向かうべき列車

片道6時間、1日に3本しかないのだ

つまり一本乗り遅れると日帰りの場合

 

到着してすぐ引き返さなければナラナイ

バンコクに宿もあるから、日帰り … のつもりだったのだが

このあと意外な展開に … 結局その日は …

 

列車にはなんとか間に合った!

 

すかしてはいるが、汗だくである;

 

吹き込む風は熱く乾いている

すこぶる心地良〜♪アジアの車窓から

 

これから6時間もかけて何処へ向かうのか?

 

海である。

綺麗な海が見たいのだ

 

さすがにバンコク近辺は凄まじい発展と変貌を繰り返していて

河川、海は酷い匂いと色;

発展途上だった日本もコンナ時代もあったんだ

 

飛行機で分かりやすいリゾート地へ、という手段もナイではないが

電車で揺られて、渋い場所へ行くほうが旅らしいではないか

 

ほら、財布にもやさしいし(w

 

小一時間も走れば、見渡す限り田園湿地地帯

 

立ち並ぶ並木がアジアの大陸感をかもしだしてます

ん〜バイクで走りたい!650ccのオフがいいな、ココは(ブツブツ

 

何度かの各駅停車を繰り返し、長距離列車はすでに満席

皆は、空席を探し、相席を希望してまわっている

 

そのとき …!

 

となりイイかしら?アナタカッコイイカラ☆

と言ったかいわないかは

 

列車のケタタマシイ走行音で定かではないが

 

隣には、まぁ。なんとも可愛らしい女子が座ったではないか

や〜ラッキーですねぇ、絵に描いたような素敵な出会い

新しいドラマが … と勝手な妄想を膨らませつつ(w

 

国際交流打ち解けましょうと

持ち前の馴れ馴れしさを十二分に発揮し(w コンタクトを取ったのであった

 

 

 

 

 

 

 

  そこで獲得したこの笑顔である

彼女達、とってもシャイなので笑わせるのにとても苦労した

 

しかし一度打ち解けるとヤッパリ中身は年頃の女の子、よく喋るしゃべる

とかく日本の事に興味深々、質問攻め

 

そんな日本好きの君たち、将来の夢は?と聞けば

やはり日本語をマスターして日本の企業に勤めたいんだとか

何処のレイディーも外資系という言葉に弱いザマス

 

この後、列車に揺られている数時間

しばし日本語教師を務めることに …

 

名前、左から「 Fang 」 右の子「 Gift 」

大学生なんだって、タイ全土から選抜されて進学しているそうで

出身地もバラバラ、相当知能が高そうな感じしたよ

育ちも何やら良さそうだし

 

会話が進むにつれ

日本の音楽家だー♪と話すと

「 え?もしかしてタカヒロさん 」「 キャー★!CD持ってますワタシー!」

 

と言ったか言わないかは神のみぞ知るところ

 

 

この列車に乗る風変わりな日本人の会話を聞きつけて

彼女らの友人達がワンサカ集まって来た

 

右上の向かって右側

グループのリーダー格、女番長ってところだね

名を聞くと「 しまこ 」と答える不思議な子

 

日本語の名前に憧れているのが良く分かる

唯一英語が喋れて

(あとの子とはオーバーゼスチャーと持ち込んだタイ語本でナントカ交流)

いかにも世話好きでそうで(このあと実際に世話焼かれる)

気の強そうな姉御肌!彼氏を尻にひきそうなね(w

オレのいでたちを見るやしきりに

 

「タカヒロはとっても御洒落ねぇ〜。」

としきりに褒めてくれる、末恐ろしい彼女

 

何とも大学生にしておくのは勿体無い人材である(w

 

左は「 Pupea 」←紙にはこう書いてはくれたがナント読むのか…?

大のジャニーズ狂らしく、【 ARASHI 】と【 KATUN 】

を熱く語っておりました、何を言ってるかイマイチ分からないけど

伝わるもんだね愛情は

 

「いやぁ。タカヒロさんじゃナイっすかー!CD持ってますよ〜」

ってもうエエか(w

 

実は彼女達には野郎も同行していたのだ(残念w

名は「 RAM 」という、実に真面目で優男

カメラ前の照れ方といい、日本人にしか見えないんだよね

 

しまこちゃんとイイ仲っぽい風、すでに尻にひかれてました

 

 

 

彼は「 MEE 」

たぶん、あだ名なんだろう

オレが差し出したメモ帳に名前を書き、隣に熊の絵を描いていた

タイ語で熊ちゃんなんてよばれてんだろう、何処の国も同じだね 

 

夏休みなので、これから皆で泊まりで海に行くのだそう、同じ目的地だ

 

 

オレが持ってきた タイ語=日本語 の絵本を取り合いながら

互いに日本語を発音しては、はしゃいでいる

なんか、青春って感じだねぇ

 

板張りの座席に、凄まじいまでの振動

チャンビールの酔いも手伝って

ウトウトしかけた所で6時間、到着です

 

にぎやかな中にも国民の避暑地として歴史がある

何処か凛とした雰囲気の佇む海辺の街

昔は国王も避暑に通ってたんだとか

 

兄ちゃん!乗ってかんか〜?安くしとくぜ〜

何?イラナイ?そうかい

まぁ。楽しんできな〜海はアッチ、ここはイイ街ヨ

 

この道ウン十年てところでしょうか、年季入ってます

 

 

…ノラナイノ?

 

 

これから何処行くの?タカ。海まで出るんでしょ?

だったら一緒に乗って行きなさいヨ

 

運賃は私たちが払っておくからと

コチラにまったく財布を出させず

早速、運転手と値段交渉を始めている

 

結局、駅から浜辺の街まで同乗させてもらう事に

タクシーに改造したトラックの荷台座席で寿司詰めで海へ

車内で運賃の割り勘を始める彼ら

そんなに高い運賃ではないのだが、その顔は真剣そのもの

割り勘も1円?(1サタンか?)単位で割っている

 

その健気な姿勢に、つい「悪いねぇ〜オレも払おっか?」と聞くと

「イイのよ、タカ。それより〜ようこそタイランドへ!楽しんで行ってね☆」

皆が一斉に声を揃え、笑顔を向けた

 

この言葉と笑顔に、親切がこの国の本質を物語る一瞬であった

 

 

おぉ。久しぶりにカルチャーショック;やるな御主…

 

これはサスガに交通事情のシビアなバンコクでは見掛けなかった

恐るべし生活の知恵;ヤドカリ号

 

いざ!出勤!、海沿いの市場で開店準備であろう

合理的といえば、それまでだが…凄;

 

タカ、宿はどうするの?

今度は宿の心配を始めてくれる世話焼き「しまこ」ちゃん

宿はバンコクだし、日帰りだ…などと話していると

エ〜ありえない!夜が楽しいのに〜ナイトマーケットは賑やかヨ〜などと

しきりに魅力を語りだした …

明日は予定があるしなぁ … でも明日、朝一で戻ればイイか …

 

で、結局。↑本日の宿ロビーからパチリと一枚

宿の世話まで焼いて頂く

宿代聞いて驚くな、現地人が交渉すると超ディスカウント!

シャワー、クーラー付き(一応日本人だからと良い部屋を選んでくれてる)

それでも確か¥500しなかったんじゃなかったカナ

 

簡素ではあるが清潔な印象の部屋で一息いれると

ココからは別行動で海岸へと脚を運んだ

 

あんまり彼らベッタリでもなんだからね

 

砂浜をを素足で歩いて行く

 

 

突然海の家から爆音が!

 

バンド小僧が練習に励んでいるではないか

浜辺には似会わない光景、今夜の仕込みかい?

 

演奏技術は…ノーコメント;曲は何故だかガンズアンドローゼスでした

 

そうそう、この光景でしょ

晩御飯の仕込みでしょうか?

奥さんが岸辺で待ち構えています

 

 

この人ほどドラえもんTが似合う奥様もいないでしょう

(ちなみにタイでドラえもんは凄い人気)

 

 

中身を見せてもらいました

ボラっぽいナ …

 

 

現地の人も、それぞれ夕涼みです

みんなイイ表情するんだカメラ向けると

 

 

 

「 ワタシタチ!シアワセナンデス!」

そういうの、伝わって来るよね

 

この旅一番のベストショットかもしれません

愛ぁい〜♪シテル〜♪いいねぇ。彼らにCDあげればよかった

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の帳が下りて

 

さぁ。街に繰り出しました

歩き疲れて、腹ペコです


 

さすが魚介の絶対量が違います

食べたい魚と料理法をオーダー

店の奥が客席になっており、そこで食べられるシステム

大抵何処もそういう感じ

 


 

これは未だに不明な食べ物 …


 

これは未だに食べたいと思わないタベモノ …

 

 

 

本日のディナー

蟹はカレーに、海老は素焼きで豪快に!安いんだコレが

 

あと、何食ったか食い過ぎて忘れた;

 

  豪勢な宴で夜は過ぎて行く

 

 

 

 

 

 

翌朝、極早朝

始発待ち

案の上、列車は遅れているという

待合客は当然の事のように寝ながら待ち続ける

 

 

 

長い車両を重そうに引きずりながら

列車は大きな悲鳴と共に走り出した

 

窓からは極彩色の夜明け

 

 

宿の廊下を挟んだ彼らの部屋のドアに

イラスト入りのお礼の手紙を挟んで来た

彼らが今後、日本に来ることがあれば

頼まれない程の世話を焼いてやろう

 

人種は違えど、こちらの態度ひとつで

いかおうにも人は変わるものだ

微笑みの国といわれる、この国でまた一つ学んだ気がした

 

 

 

episode 4fin