機内にて〜

バンコク市内で週末、テロが噂されている影響からか機内は閑散としている

空席が目立つバンコク行き午後の便

梅雨を迎える直前に、一足先に常夏を体感すると、今年も夏が長く感じられる

機内での楽しみといえば、飲み放題と封切り直後の映画鑑賞

少しでも機体を軽くしてあげましょうと?

せっせとビール(プレミアムモルツを選り好み)の空缶を量産しながら

気になっていた二本の映画をセレクト

到着までに6時間程、時間はたっぷりとある

夕暮れの差し込む光に苦戦しながら液晶モニタを赤ら顔で眺める

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少し二本目にしては重いかな?と観始めた映画「ブラッドダイヤモンド」

アフリカ産のダイヤ争奪を巡って
血生臭い争そいが繰り広げられる実話に基づいたストーリー

… や、ヤバイ;泣いてしもた

隣の団体客のオジサンに悟られる(w)涙拭かな;アレ?涙がとまらん

ディカプリオいいねぇ〜役が良すぎ、シナリオかなり選んでるよなぁ、彼

それよりもこの映画、助演のアフリカ人の役者がイイ!

彼の役柄と演技には日本社会が忘れかけた父権を見た

と、ストーリーにはあまり触れずとして

話の中で気に止めたフレーズがあった

「人はあらかじめ善悪をもって生まれて来ない
その人間の行動のみによって善悪は決まる…」

言葉は違えど、確かこんなフレーズだったと思うんだが

善悪までは別として、人と人は接し方一つでいかおうにも表情を変える

100%イイ人ばっかり住んでいる国なんてナイ

治安が悪い国っていったってイイ人は沢山居る

自国だってそうだ、自分次第であろう …

酔った頭でソンナ思考を巡らせながら
到着の迫った機内で静かに眠りに落ちていた

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そうだ、今年から新しい空港に変わったのだ

前空港にはあった、いわゆるアジア臭さは空港に一切無く

あるのは先進国になんら劣らない洗練されたデザインの発着ロビー

そう今、凄い勢いでこの国は発展を遂げているのだ

日本にも昔、昭和の数年間で物価が倍々で上昇した時代があったらしいのだが

まさにその状態?今年はあまり贅沢が出来ないか?と

庶民的発想で空港を出る

宿までの送迎はタイ人の「トーン」さん

毎度この人達との会話がタイの実情をリアルに知る最初の情報源

彼が話す所、やはり現在タイでも異常気象なのだそうだ

そう言われてみれば去年よりも涼しいような

とは言っても大の大がつくほどのクーラー好きのタイ人

バスの中が寒すぎる;大体アンタらが一年中クーラー点けてるから地球が…と

言いそうになったが、到底理解してもらえ無さそうなのでやめておく

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pm9:00 宿に到着〜

旅疲れは少しあるが、胃袋は正直である

五臓六腑にアジアの洗礼を与えるため、表通りの屋台へ

早速、獲物を見つけたコヨーテの如く
トゥクトゥク(3輪オートバイタクシー)の熱烈勧誘

これこれ、コレを喰らうと今年もココに来たなと実感するのだ

しかしこの熱烈勧誘、日本人の感覚からすると相当シツコイ

愛想笑いなど浮かべようものなら、地獄の果てまでついて来る

真顔でキッと面等向かい

「メイアオ!(いらネェ)」

と告げる、相手には悪いが、ここは出来るだけ冷酷な方がイイ

微笑みの国ではある、しかし愛想笑いの国ではないのだ

 

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さてナントも恰幅のイイおばちゃんの屋台を選んで席を陣取る

お約束の品を何品か注文、安い目のビールで一気に流し込む

料理ってさぁ、食べてる気候までスパイスだよねぇ

日本人シェフが以前言っていたが、まさにそのとおり

夜とはいえ、むせ返るような熱気と排気ガスのたち込めるガード下

首輪の付いてナイ犬が何匹も傍を通り過ぎる

猫と見間違える程のネズミが電光石火の如く駆け抜けた

それも含めて、深夜のフルコースである

しかし去年にくらべて値段がチト高め

明らかにこういうところまで物価の波は押し寄せて来ている

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翌朝、少し郊外へ出てみることに

電車で1時間程のナンノ変哲もない街

 

あるといえば地元人が信仰する古いお寺があるところ

駅前から寺までがチョコッと栄えてる寺町通りってところか

ガイドブックにあるような観光地ではないので日本人はゼロ

まだまだ日本人っていうのは場所によっては珍しいようで興味深々

なんでアンタらがここに居んの?ってな調子ですれ違う

 

バンコク市内では、ほぼ無視だから

このギャップには驚かされる

お寺見学を済ませたところで少し街外れに行ってみる

地図なんかないから、コンパス頼りにとりあえず南へ

そう、ひたすら南へ進んで帰りたくなったら北へ進む(w

これ、意外と効果的〜地球は丸いのである

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見渡す限りの一本道

振り返っても一本道

驚く程の静けさ、更に歩みを進める

と、所々で熱い視線を感じた

?野良牛?な訳無いか

日本人に興味があるのは、何も人だけではない

それにしても、めっちゃ見てる

 

風通しのイイ、池のほとりに腰を下ろし

旅に出てきた実感を味わう

前方に見えるトンガリ帽子がお寺、この街のランドマークである

背中のリュックには冷えたビールがドッサリ

さあ、ここらで一杯やりますか(w

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夕暮れ

帰りはバスを乗り継ぎバンコク市内へと戻る

酔いと歩き疲れから、転寝をしたようだ

 

目覚めれば、さっきの静けさとは裏腹

更なる発展を遂げている中心街へ

街の喧騒という言葉がピッタリである

 

たとえ上階が工事中でもガンガン営業してしまう

恐るべし …

相変わらず路上でも、所狭しと露店が軒を連ねる

CD屋だってある、う〜んホンモノか?これ…と横目で物色した時!

TAKAHIRO!と店主の呼び止める声

 

売れてるよ〜アンタのCD、オレは二曲目の方が好きだけどね…

おぉ。中々オレもインターナショナルになって来たな…

 

… 。

あ。ヤラセですけど何か?(w

せっかくだから、CDプレゼントしておいた

売ってもイイゾ、その代わりしっかり宣伝しておけよ〜と

 

彼をバンコク営業部長に任命しつつ

本日は宿に戻ったのであった

 

episode 1 fin