■  『 半島盛夏 』

深夜2時45分、目覚ましが鳴る

モチロン予測していたベル、浅い眠りの中で聞く

カラダは眠そうにしていたが、頭がすっかり行く気でいる

既に表に出して止めてあるバイク前までエレベーターで降りていく

ここは昼夜問わず繁盛な大通りなのだが、今日は心なしか静かである

昨日まで騒がれてた台風の影響か?

 

「 まぁコンナ日にモノ好きな … 」

と冷やかしを受けた事を思い出し苦笑いしつつ

エンジン点火〜トリップメーターをリセット

ここにまた戻った時の数字が楽しみである

時計は3:00ジャストを指す〜予定通りだ

吹き荒れる生暖かい風の中、出発

 

今回のルート

国道一本で日本列島を真っ縦に縫い夜明けの日本海へ

そこから最近癖になっている半島周遊を追加するというもの

目的地までの青い国道標識のキロ数が徐々に減って行く様を眺めながら

これから幾つモノ峠を超える

 

郊外へ抜けかけてた走行距離40数キロ地点

逸れたとはいうものの台風の影響からか、かなりの風

計画中止?大体遠乗りは、このあたりで一度後ろ髪を引かれる

しかし過去の様々な旅の記憶から、未知への好奇心は増大

アクセルをさらに.…そして前へ

 

真夜中、ド平日の山間部

足早な長距離トラックの洗礼を多大に受ける

過去何度も経験済みではあるが、まこと有難くない

幾つもの有名な温泉街を抜け、一路日本海へ最後の峠

薄明かりで幽玄に浮かび上がる風景がライダーを迎える

そして到着

あこがれていたルートで日本海を真の辺りにする

疲れもそこそこに、ここからじっくり海岸線を隈なく周り

厳しい日本海へ突き出した半島へとバイクを走らせる

しかし季節は夏である

厳しいながらも穏やかな夏の海はコントラストの強い両面を僕に見せてくれた

ノスタルジックに誘われる夏の風景

やがて最果てに辿り着く

 

古びたベンチ付近、過去日本一周を達成したという青年に出会う

時代を感じさせるベンチの周りをカメラを持って右往左往〜

お互い一人旅、どちらからとなく声を掛け合う当たり前の風景

なんでも過去日本一周の時に

立ち寄れなかった場所をこうして尋ねて周っているんだとか

話もソコソコ、お互いの旅の安全を案じて別れる

今は穏やかだが

時折厳寒の村の生活をヒシと感じさせられる場面に出食あすこともしばしば

日は傾き始め、今夜の宿へと脚を早める

水平線へ向け一気に駆け上がったかと思うと

切り立った崖の上のワインディングを滑り降りて行く

あの岬の向こうが今日のゴールだ

宿に着いたら、風呂上りに近所の酒場を訪れてみる事にしよう

そこに流れるBGMはやはり...?

BIKE LIFE INDEX⇔