となりのトトロ番外編、『となりのKK』!
Bがどんぐりを拾っていたとき、KKを発見!!
しかも何故か『大KK』『中KK』『小KK』と、3人も!
Bは科学者、Gの所にそれらを運び、実験を…!!
次回『となりのKK』は殺人モノ!?…お楽しみ??

で、小説を書いてみよう♪

 皆様はご存知でしょうか?

 宮●監督が世に生み出した有名な作品、「となりのトトロ」を。

 なんと、その作品の番外編がこの度ネット小説として出る事が決定しました。

 何?前作主人公は出てくるのかって?

 いませんよ、そんなの。

 あくまでも『番外編』なのですから。

 では、少しだけ話を覗いてみましょう。

 

「―――やってられないわ」

 ぽつりと呟きながら、袋の中にまた一粒どんぐりを入れる。

「どうして私がこんな事をしなくちゃならないのかしら?まったく―――やってられないわ」

 同じ言葉を口にしながら嘆息を漏らす。

 彼女の名前はMs.B―――通称Bと呼ばれている。勿論、これはコードネームであって本名は全く違うが、その名を

知る人間は少ない。それが裏で生きる人間の定めなのだから。

 話は少し前に戻る。Mr.Gと呼ばれるBの上司である科学者に連れられ、彼女はこんな山奥へと連れてこられた。周

囲にあるのは古ぼけた民家だけで、買い物するには山を下りて車で三十分は当たり前。その間、視界に映るのは山と

畑だけ。もんぺ姿の老人達が毎日頑張って汗を流している。どうしてそんなところに来たのは。それはGだけが知って

いた。

『ちょっと、G』

『なんじゃ?』

『そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかしら?一体、こんな山奥に何のようで―――』

『何。ちょっと探し物じゃ』

『探し物?』

『そうじゃ。て事で、B』

『何?』

『少し集めてきて欲しいものがあるんじゃが―――?』

 そう言って彼が要求したものが、

「何故、どんぐりなの?」

だったのだから笑えない。

「一体どうやったら、こんなものを実験に使うというの?―――全く。これだから科学者ってのは、何を考えているのか分

 からないから嫌やのよ」

 舌打ちしながらも、手は落ち葉を掻き分けてそのどんぐりを捜す。左手に握った袋は彼女の手のひらほどの大きさだ

が、もうふっくりと膨らんでいる。もうそろそろいいだろうか。しかし、足りないからもう一度取ってこいと言われたら迷惑

この上ない。

(持って帰ってあげるわよ。えぇ、いらないというほどの量を持ってね)

 人間ヤケになったらワケが分からない。無意味に闘志を燃やすBの目は、虚ろにどんぐりを捕えていた。

(―――見つけた)

 獲物を捕えた瞳。艶やかな唇が不気味に釣りあがる。

 別にどんぐりは逃げない。文字通り手も足もないのだからそれは当たり前の事なのだが、嫌に燃えるBにそんな常識

は存在しない。暗殺するように手を伸ばし、細い指先でどんぐりを掴もうとする。

 刹那。

「―――!」

「!!」

 指先が触れた。それはどんぐりではなく、暖かい、人の指先。

 叫ぶより身体が動いた。どんぐりに釘付けになっていた視線をあげ、仕方がなくそのどんぐりは諦めて後ろへ飛び退

く。

「!お前はっ」

 突然現れた人物の姿が全身見えると、Bは声をあげずにはいられなかった。青い帽子に青いつなぎ。そして、ヘッドホ

ンやワンポイントがピンクと微妙な組み合わせをした男。いや、正しくは少年と言った方が正しいだろうか。ぱっと見たと

ころ、小学生ぐらいのサイズでまだ幼さが残っている。

 その人物を、Bは知っていた。いや、正しくはその少年によく似た人物だが。彼の名はMr.KK。Ms.Bより数年先輩

の人間で、BのようにGの部下として働いていた。だが、ここ最近になってふと姿を消してしまった。どうでもよい事かも

しれないが、彼がいなくなってから二人はこの山奥へとやってきた。

「KK?いや、それにしては小さすぎる」

「だっ、誰だ?お前っ!」

 少年KKはBが取り損ねたどんぐりを小さな手の内におさめると、Bと同じように逃げるように立ち上がった。

「どうして兄ちゃんの名前を知ってるんだっ?」

「兄、ちゃん?」

 首を傾げ、意味を理解しようとする。あいにく、BはKKの家族構成を知らない。しかし、この少年の言っている事が

本当ならば、この少年はKKの弟という事になる。顔がここまでそっくりなのだから、疑いようのない事だ。

(でも、もしかして―――?)

 ふと脳裏をGの姿が横切る。

「貴方のお兄さんの名前、KKって言うのかしら?」

「―――そうだよっ」

 少し警戒しながらも、ちゃんとBの質問には答える。どんぐりを握り締めた手に力を入れ、目を伏せる。

「だから、なんだってんだ?」

 ふぅ、とBの口から溜息が漏れた。

 性格までそっくりなのね。

 別に乱れたわけでもないが、ただ癖のように肩にかかった髪を払う。

「私、貴方のお兄さんに用があるの」

「―――知り合い、なのか?」

「知り合い?クスッ。まぁ、そんなものかしら」

 実際のところ、知り合いというほどの仲ではない。仕事場でちょっとすれ違うぐらいの関係だ。

「もしよかったら、KKのところまで連れて行ってくれないかしら?」

「―――どうして?」

「ちょっと、用があってね」

 表だけの笑顔を浮かべる。少年KKは不思議げに首を傾げたが、別に拒否はしなかった。Bの裏の笑顔に気付かな

いまま。

 Bはスリットの深いスカートの下に手を伸ばし、そこにあるブツを確認した。

『それとB。もう一つ頼みたい事があるんじゃが』

 付け加えるように言っていたGの言葉を思い出す。

『捕まえてきてほしい動物がいるんじゃ』

『動物?』

『そう。ここにしかおらん、ある生き物をな―――』

 にやりと笑った彼は、Bに麻酔弾を数弾だけ分け与えた。

 

 少年KKは森の奥へとBを連れて行った。獣道と言うべき道を進み、同じ所を進んでいるような感覚に襲われながら

木々の下をくぐり抜ける。

 数分ぐらい歩いただろうか。ふと少年KKは立ち止まり、つられてBも動きを止める。

「着いたよ」

 幼さの残る声で彼は言い、前方を指差した。

「兄ちゃんっ」

 元気に駆け出していく。Bを残し、目の前に現れた空き地にある一軒の家に近づく。

 手作りの家だ。太い幹で大事な柱をつくり、大きな葉などで天井や壁を作ってある。よくドラマなどで、無人島に流れ

ついてしまった人が作る家に、心なしか似ているような気がした。

「んっ?やっと帰ってきたか」

 大人の声がして、Bは眉をひそめた。聞き覚えのある、胸に響くベース。

 声の主はドアの無い家から出ると、帰ってきた弟の頭を撫でた。

「ただいま、兄ちゃん」

「どこほっつき歩いてたんだ?」

「ちょっと、な。あの人が兄ちゃんのところに連れてってくれっていうから」

「あの人?―――っ!」

 気になる単語に青年は顔をあげ、そして息を呑んだ。

 重なる二つの視線。

 Bは唇を少しだけ釣り上げて微笑んだ。

「お久しぶりね、KK」

「どうしてお前がっ!」

「ちょっとしたお仕事でね。Mr.Gも一緒よ」

「何っ?」

 KKの顔色が変わった。

「あの野郎も一緒なのかっ?」

「あらあら。自分の上司に向かって、その呼び方は酷いんじゃないかしら?」

「あいつはもう俺の上司なんかじゃねーっ!」

 怒りのこもった声が轟く。

 今まで見た事のないKKの怒りに少年KKが身体を強張らせた。

「にっ、兄ちゃん」

「あいつのせいでっ……あいつのせいでっ、俺はこんな身体にっ!」

「こんな身体?」

 片眉をあげ、KKの身体を見つめる。だが、外見的には別に変わった様子はない。

「何か、あったようね」

「あぁ。ありありだ」

「もしよかったら教えてもらえないかしら?」

「その前にお前がどうしてここにいるか聞きたい」

「―――分かったわ」

 仕方が無いわねと呟いて肩を竦める。そこでBは簡単にだがいきさつを話した。Mr.Gとここへ来た事。その目的は

彼女自身も教えられていない事。そして、何故かどんぐりを集めてこいと言われた事。

 そこまで説明するとKKはチッと舌打ちをした。鋭い眼が一段と尖る。

「結局、あの爺は俺を探しにきたって事か」

「さぁ、次は貴方の番よ?KK」

「―――分かった」

 嘆息をつき、まだ怯えたままの少年KKの頭に手を置く。

「いつだったかに爺に呼び出されてな。その時に変な薬を飲まされたんだ」

「変な、薬?」

「あぁ。今考えてみればどうしてその場で妖しいと気付かなかったのか。感が鈍ってたんだろうな。その得体の知れねぇ

 薬を飲んだらこの通りさ」

 視線を少年KKに落す。

「何故か身体が分裂して、こいつともう一匹現れやがった」

「もう一人?」

「この奥にこれよりチビがいる」

 親指で後ろの家を指し、Bに視線を戻す。

「爺は俺を実験台にしたんだ。それがなんかむかついて、こいつら連れて脱走してきた。適当な場所に隠れようかと

 思ったんだが、ちょっとこいつらが厄介な体質でな」

 そこでやっとKKは少年KKに家に戻っていろと言った。彼はこくんとだけ頷くと、Bの姿を気にしながらも暗い室内へ

駆け込む。

「―――何故か主食がどんぐりらしい」

「あぁ。それで」

 少年KKがどんぐりを集めていた理由と、GがBにどんぐりを集めるように言った理由が分かって一人納得する。

「これでいいだろ?」

 不満そうに呟く。

 Bの唇が小さく釣りあがった。

「えぇ。いいわ」

「それで?お前はどうするんだ?」

「実は私、Gにもう一つ頼まれた事があったの」

 風がそよぐ。

「それはね」

 細い手がスリットの中に入り、隠していたソレに触れる。

「貴方達を捕獲する事なの」

 刹那。

 二人は同時に動いていた。

 Bの手に握られた銃が唸り、KKは膝を折ってそれを回避する。

「逃げられはないわよっ」

 続いて銃声が轟く。とたん、KKの動きが鈍った。

「大丈夫よ。これはG特製の麻酔銃。殺傷性はないから安心して」

 にこりと微笑むB。しかし、撃たれた右肩を押さえるKKの耳に、もうその声は届いていない。薄れていく意識の中、な

んとか片膝で立っているのが精一杯だ。

「さぁ、おやすみなさい」

 瞼が閉じていく。

(ちび…ども―――)

 痺れが唇を支配して声が出ない。胸の中で呟くと、ぷつりと意識がそこで途切れた。最後に見たのは、いつもと変わ

らない笑みを浮かべたBの表情。

 

「―――連れてきたわよ」

 部下の声がして、老人は回転椅子を回して振り返った。

 開け放たれた鉄製のドア。別に鍵などはかけていない。窓一つとない室内にある光といえば、老人の頭上にある小

さな照明だけ。それに加えてドアの奥から外の光が差し込んだ。

 ドンッという音と共に大きな荷物が床に放り出される。

「兄ちゃんっ!」

「ちゃんっ!」

 続いて二人の少年が荷物である、KKに駆け寄った。

 ドアを閉め、ご丁寧に鍵をかけてからGへとBは近づく。

「これで、いいのかしら?」

「―――あぁ」

「彼を捕まえて来いっていうのなら、そう言ってくれればいいのよ」

「別にいいじゃないか。それに、楽しかったじゃろ?どんぐり狩りは?」

「―――全然」

 被りを振って空いている椅子に腰掛ける。Gの椅子とは何ランクも下がった、ただのパイプ椅子だ。おまけに背もたれ

のビニールが破れていて、中のスポンジが溢れ出ている。

「それで?これからどうするのかしら?」

「興味があるのか?」

「―――全然」

 もう一度、Bはそう答えた。

「私には関係ないわ」

「そうか」

 苦笑し、再び机に向かい直る。

「おいっ!」

 元気な声が狭い室内に響いた。少年KKが立ち上がり、震える拳を握り締めてGを睨みつけている。KKを眠らせて

ここまで連れてきたのはBだというのに、諸悪の根源がGだと瞬時に判断したのだろう。

「兄ちゃんをどうする気だっ?」

「どうもせんよ」

 答え、ボールペンを片手に肩越しに振り返る。

「ワシが用のあるのはKKより、お前達じゃ」

「俺、達?」

「たち?」

 少年KKより小さなKKは、なんとか言葉を喋れるぐらいなのか、真似して言葉を発する。

 クククッと並びの悪い歯の隙間から笑いが漏れる。

「お前達は俺の実験台じゃからの」

「じっ、けん?」

「そうじゃ」

 Gの手が素早く動いた。

 刹那。

「!」

 赤い血が、少年の頬を流れる。

 背後の壁には、今投げられた物が刺さっていた。ついさっきまでGが握り締めていたボールペン。

「さぁ、その身体を切り刻ましてくれるかのぉ?」

 いつの間にか、手は新たな武器を握り締めていた。微かな照明を受けて光る、無気味なメスに少年の怯えた顔が

映る。

 いやだ、いやだ、と少年は後ろにひいていく。そこに、KKの鋭い眼はもうない。

(所詮は、創りモノって事ね)

 一人納得して二人を見つめる。

 室内は狭い。すぐに少年の背中が壁にぶつかった。

「さぁ、まずはお前からじゃ」

 メスが近づく。

 一メートル。

 九十センチ。

 八十センチ。

「……い、やっ」

 五十センチ。

 四十センチ。

 三十センチ。

「大人しくしていれば痛くはせんよ。大人しくしていれば、な」

 鼻先でメスの先がキラリと光った。そして、側面が頬を撫でていく。

「あっ……ああぁっ、ぁあっ!!」

「さぁ、見せておくれ。その身体の創りを」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 悲鳴が、あがる。

 Bは椅子に腰掛けたまま。

 ちびちびKKは事の事態が分からないまま、Gに追い詰められた少年KKを見上げているだけ。

 花が、咲いた。

 真っ赤な、真っ紅な、大きな花が咲いた。

 ツンと鼻をつく匂いが、Bの中で快楽を呼び起こした。


 やっと書き上げました。

 久しぶりの次回予告小説。

 長々と放っておいたような小説(汗)。

 しかし、やっと書きました。

 大中小KK♪

 ちゃんと殺人モノにあうようにグロくしましたよぉ〜?

 ん〜、御疲れ。

 てか、楽しかった。

 ま、次のは機会があればって事で。

 03.7.14

 

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