着ぐるみを作らせたら右に出る者はいない―――かどうかは知らないが、少なくとも彼らは着ぐるみ専門のデザイ

ナーで、その世界では名は売れている。名前は目付きが悪い方がピエール、逆に目が丸い方がジルと言う。紹介す

るならもう少しまともな身体的特徴を言えという人もいるだろうが、それができるならばどれほど楽だろうか。気ぐるみ

デザイナーと言われるだけあって、彼らの私服から喪服まで全て着ぐるみなのは当たり前。そして、誰一人として顔

以外を見た事が、無い。

 

「では、お願いします」

「分かった〜」

「た〜」

 もう一度頭を下げ、男は部屋を後にした。机の上には男の名刺が社交辞令として置かれている。最近人気のある

バラエティ番組のADと書かれているが、あいにく彼らは見た事が無い。

「帰ったね〜」

「ね〜」

 間延びする言葉を吐き、てけてけと名刺を囲むようにフローリングに座り込む。

「どうする〜?」

「る〜?」

 まるで独り言のような会話だが、それでも不思議な事に彼らは意思疎通が出来る。

「どんなのにする〜?」

「る〜?」

 いつも使っているデザイン用紙とペンを取り出し、真っ白な用紙にインクを染み込ませる。

 これが彼らの仕事風景。依頼を受け、デザインを考え、布を選び、購入し、書き、切り、縫い、そして完成。この間

かかる時間は一週間で終わる時もあれば、一ヶ月かかる事もある。

 その日もそれとなく平凡な日常を過ごしていた。

 ―――その時までは。

「ん〜?」

「ん〜?」

 背後から聞こえた激しい音に二人は視線を動かした。

 そこには砕け散った窓ガラスが床に広がり、秋だというのに風通りが良くなっていた。

 言い忘れたが、場所は都内某所。人間界での仕事が最近多く、メルヘン王国に戻る暇が無いという理由から、二

人は仕事場として貸家に住む事にした。仕事場ならば別にアパートやマンションでもいいじゃないかという人もいる

だろうが、彼らの仕事をするにはそれらでは狭いのが理由だ。二階建てで、一階は住居、二階が仕事場となってい

る。仕事の依頼用に二階直通の階段があるここは、元事務所だったらしい。

 話は戻る。割れた窓は外に通じるドアとはまったく逆に位置する。丁度家の裏にくる窓はベランダと繋がっていて、

完成した着ぐるみや彼らの洗濯物が干されている事が多い。が、今日はたまたま何も無い。カーテンでも閉められ

ていればもう少し破片は散らなかっただろうが、曇りガラスなのをいい事に厚手のカーテンしかない。

「あ〜」

「あ〜」

 ベランダには男が仁王立ちしていた。これ以上となく悪人面の、左手が「ピーターパン」に出てくるフック船長のよう

に鉤爪になっているのが目立つ男だ。

 もしピエールとジルがテレビに目を通し、なおかつアニメを見ていたならば、この男の正体が分かったかもしれない。

しかし、運悪く彼らは仕事が忙しく、テレビを見ている事は少ない。

「だれ〜?」

「がらす〜」

 初めて二人の台詞が分かれた。好奇心旺盛なジルは突然現れた男に興味を持ち、財布を握っているピエールは

破壊された窓ガラスに嘆いている。

「悪いな、お前ら」

 男が放った年を感じる低いガラガラ声。砕けたガラスを踏むと音をたてて木っ端微塵になる。土足のまま室内に

入るが、場合が場合だけあって誰も―――と言っても二人だけしかいないが―――文句が言えない。

 鉤爪を掲げ、白くない歯を見せる。

「別に恨みはねぇんだが、素直に捕まれ」

 

 オフの日の過ごし方はその日の気分だが、今日は誰かと話がしたいとむしょうに思った。

「それで?」

 不満げな表情を浮かべ、問い掛ける。

「その気分とやらであたしを呼んだわけ?」

 鋭い視線を台所で暴れている相方に向ける。

 その視線に気付いたのだろうか。コーヒーを入れたコップを慌てて運んできた。

「あははははははは。恐いなぁ、ミミちゃんったら」

 中身を零さないようにミミ用のコップを置き、自分のを持ったまま向かいの椅子に腰掛ける。

「どっちにしろ、今日はピエジルの所に行く予定だったんだからさ。丁度いいじゃない。ね?」

「――――――」

「ね?」

「――――――」

「……ね?」

「ま。確かにそうだけど」

 それにニャミちゃんのコーヒーは好きだし、と付け足して一口喉に流し込む。

「いつ行く?」

「ん〜。そうだねぇ」

 半分ほど飲み、丁度向かい側にある時計を見上げる。朝とも昼ともいえない中途な午前十時過ぎ。そろそろ街が

活気に満ち溢れだす時間だ。

「一度電話して向こうの都合聞く?」

「それがいいと思うよ」

 満足げに飲み干し、空になったコップを置く。

 ニャミは席を立つとリビングに放りっぱなしだった携帯を探した。ポップンパーティのストラップがついた携帯を見つ

けるのは別に難しい事ではなく、手馴れた手つきでグループ呼び出しからピエールとジルの仕事場電話番号を検索

する。

「出たぁ?」

「まだぁ」

 客人の問いかけに単語で答え、よく聞く呼び出し音に耳を傾けている。

 五回、十回、十五回。

 呼び出し音が二十回になろうとした時、電子音が消えた。

「あ、ピエジル?ニャミだけど―――」

 いつもの調子で話し掛けたが、聞こえてきた言葉にニャミは耳をぴくぴくさせた。

『今いない〜』

『い〜』

『だから後でかけて〜』

『て〜』

 可愛らしい少年テナー声の後に続いてピーッと留守電が終わる音が鳴った。

「どう?」

 ミミが来ると同時に電話を切る。

 ポップ君をかたどったストラップがカチャリと鳴った。

「いない」

「え?」

「留守番電話だった」

「うそ?確か今日は一日中いるって言ってなかった?」

「うん。言ってた、けど」

 だが、実際に電話には誰も出なかった。

「どうする?」

「―――待とっか」

 あえて深くは考えず、ニャミは携帯をソファに携帯を投げた。

 

 森林にあるようで街中のようなアマゾン川流域青木町。誰も知らない未知の場所に彼は住んでいる。

 サングラスの奥に秘めた瞳は幼さを残しているようにも見えるが、時々見え隠れする影が過去の悲しみを物語って

いる。この土地に季節感は無く、いつだったかのパーティに着た長袖とハーフパンツの服装をしている。

「暇だな」

 本日、日曜日。学生は少ない休みに羽根を伸ばしているだうが、いつも休みのMZDにとってはただのある日にしか

過ぎない。ソファに深々と埋もれてテレビのリモコンを操るが、時間と曜日が悪く、目ぼしいものは放送されていない。

「おい、かっ―――」

 そこまで言って言葉を飲みこむ。影には用を頼んで使いに出したのを思い出したからだ。

 リモコンを空いているソファに向かって投げ、リバウンドするのを見届けずに立ち上がる。こうなれば人間界にでも

行って暇人の相手をする他無い。

 そうとなれば有言実行、思い立ったが吉日。ちゃっちゃと準備を整え、玄関に向かう。小さなタイルで埋められた玄

関にはスニーカーが一足あるだけ。一応されている靴箱も実は空っぽ。そう実感すると独りだという現実を押し付け

られるから彼はいつもワザと視界に入れない。

 少年の身体にぴったりの黒のスニーカー。踵を潰さないように片足だけ履き、紐を緩めてしっかりと結び直す。そし

て、丁度もう片足を履こうとした時に目の前のドアが開き、喋る事が出来たならば「大変だ!」と騒いだだろう影が飛

び込んだ。

 

「出た?」

「ううん」

 首を横に振り、何度目か忘れた携帯の電源を切る。

 もう五杯目を越えただろうか。いくら好きだといってもそれほど飲むとコーヒーも飽きる。

「―――おかしいよね」

「うん」

 時計はいつの間にか二時を回っていた。運悪く冷蔵庫の中は空っぽで、いつだったかに買い溜めておいたカップ

ラーメンぐらいしか昼飯といえるものはなかった。今ではもう汁しか残っていないが、完全に冷めている。

 最初に電話をかけたのが十時過ぎの事。それから彼女は一時間後にかけ直してみた。しかし、その時は出なかっ

た。二人はもう一時間待とうとしたが、痺れを切らしたニャミは三十分置きにしつこくかけ直した。その回数、計六回

ほど。だが全てに出たのは彼らではなく、録音された留守番電話だった。

「どうする?」

 ミミのコップが空なのに気付いておかわりが必要かジェスチャーで聞いてみる。

「こうも長時間いないとなると、心配せずにはいられないよ」

 首を横に振り、二桁目の大台に入るのを断る。

 少しの間だが沈黙が訪れた。

 机に肘をつき、手を組んで宙を見上げる。

「―――ねぇ」

 携帯をポケットにしまい、席を立つ。

「ピエジルのところ、行ってみよ」

 

「派手にやらかしだな。あの馬鹿は」

 MZDは見るも無残な室内を見つめ、呟いた。

 時間は少し遡る。慌てて帰ってきた影は主人に頼まれた夕食の食材と一緒に、一通の手紙を持って来た。遣した相

手を聞くと知らない奴だと答えた。こちらは知らないというのに向こうは知っている。それがむかついてMZDは見ずに

捨てようとしたが、それはそれで何か見えない相手に遊ばれているような気がして目だけは通す事にした。

 そして、今にいたる。

 最初はただのイタズラだろうぐらいにしか思っていなかった。しかし、現場に着くと考えは百八十度変わった。これは

イタズラでも冗談でもない。相手は本気なんだ、と。

 机の上に散らばったデザイン用紙を見下ろし、小さく舌打ちする。

「どうだ。いたか?」

 家中を探し回ってきた影に問い掛けるが、彼は肩を竦めて首を左右に振った。

「そうか」

 ポケットに突っ込んできた手紙の内容を思い出すと腹が立った。だからといってこれを捨てるわけにはいかない。こ

れは大事な証拠なのだから。

 と、何かの物音に気付き、影がMZDの肩を叩いた。

「何だ―――何?車だ?」

 厚手のカーテンがなびくのを無視し、MZDは外に通じるドアを開けた。

 

 車に乗り込み、数回だけ行った事のある道を記憶だけを頼りにして走る。知り合いが近くに住んでいるわけではな

いが、逆に独立して頭の中では覚えていた。

「次の角を―――右だっけ?」

「左だって」

 ただ、記憶力が優れているのはミミだけだったらしいが。

 看板も何もない二階建ての事務所らしい家の前につくと、悪いと思いながら路上駐車する。

「どっちにいるかな?」

 助手席から下り、窓もカーテンも締め切られた家を見上げる。

「いないからあたし達は来たんじゃないの?」

 サイドブレーキを確認し、下りて最後に鍵をかける。

「あ、そうか―――あ」

 見上げるとタイミング良くドアが開いた。少なからず、ニャミはドアを開けた人物がピエールかジルかもしれないと思っ

た。だが、顔を出したのは見覚えのある少年の姿だった。

「お前等」

「MZDっ!」

「どうして君がそこに?」

「俺的には逆に、どうしてお前等が来たのか聞きたいんだが?」

 質問に質問で返されてニャミは頬を膨らませたが、彼女の代わりにミミが前に出た。

「二人と会う約束をしてたの。あたし達、ほら。今度番組で使う着ぐるみを注文してて」

「そっか」

「だけど行く時間決めてなかったから電話したんだけど、ずっと出なくてさ」

「出なかった?」

 その言葉が引っかかり、眉をひそめた。

「おい。電話をかけたのは何時頃だ?」

「十時過ぎ。時計見たから間違いないよ。それでついさっきまでかけ続けてても出なかったから、こうして来たわけ」

「そうか―――じゃあ、その頃にはもう」

 意味深な言葉を呟き、顔を俯ける。

「そっちの質問には答えたよ。MZD、どうして君はそこにいるの?」

 上を見上げていて首が痛くなってきたが、そんな事など気にせず叫ぶ。

 返事には時間がかかった。なぜかホウキを手にした影が呼びに来ると、MZDは親指を立てて室内を指差した。

「ここじゃ話しづらい。中にでも入れ」

 声のトーンを一つ落とし、そそくさと中に入る。

 二人は少しの間、誰もいなくなった二階の入口を見上げていたが、すぐに顔を見合わせて階段を駆け上った。

 

「ま。俺が言うのもなんだが適当に座れや」

 まるで我が家のように扱い、広い室内に一つだけある机の傍に腰を下ろす。

 だが、二人は彼に視線を向けずにその向こう、一枚の板のように広げられた段ボール箱に集中した。それもそれが

窓に惨めにもガムテープで貼られていると、それに対する言葉すら見当たらない。

「どうした?お前等」

「いやっ」

「その窓がとてつもなーく……気になるんだけど」

「あ?これか。ま、それは後で話しすっから今は大人しくこっちに来い」

 MZDの命令に近い言葉に二人はいないな住人にお邪魔しますと言って靴を脱いだ。隙間から吹き込んでくる風がフ

ローリングを冷し、靴下しか履いていない足は長時間立ってられないと悲鳴をあげた。

「ねね。ここ、座布団ない?」

「座布団?さぁ、見てねぇけど」

「そう」

 仕方が無いと納得し、氷の床の上に座るように奥歯を噛み締めた。

「さて。そろそろ本題に入るか」

 室内だというのにいつも通りのサングラスをかけたまま話を始めた。

「最初にこれを見て欲しい。俺が暇潰しに外に出ようとした時に影が持って帰った手紙なんだが」

「手紙?」

 そう大きくない机だが、身を乗り出して彼が取り出した手紙を受け取る。何の飾りっけのない、百均にでも売っていそう

な茶封筒には裏表共に何も書かれていない。

「中、見ていい?」

「当たり前だろ」

 中を見てみると四つ折にされた紙が入っていた。気のせいだろうか、B5のコピー用紙に見える。それを広げると、上

手とは言えない文字が書きなぐられていた。

「えーっと、何々?『ピエールとジルは俺様が誘拐した。返して欲しければ」

「今度のPOP’NPARTYに俺様を出しやがれ』―――ぇえっ?『さもなくば、二匹の命はないと思え』って」

『何これ?何これ?誘拐されたっ!?』

「―――ま。早い話がそうらしい」

 頬杖をつき、溜息交じりに答える。

「どーしてそんなに落ち着いていられるのっ!」

 寒さなど忘れ、激しく机を叩いて立ち上がる。

「そうだよっ!現状分かってるっ?誘拐だよっ?誘拐っ!」

 同じく、こっちは手紙を強調するかのように叩いた。

 そんな彼女達に対してMZDはただ見上げるだけでピクリともしないる

「あぁ」

 ただどうでもよさそうに答えるだけだ。

「もーっ。いいよっ、MZDなんかっ」

「そうだよ。ニャミちゃんっ、二人だけで捜しに行こ!」

「うんっ」

「―――お前等」

「何よっ!」

 靴を履こうとした時に呼び止められ、怒りにみつた気持ちに任せて問う。そして、その熱は一気に冷めた。

 MZDはとても哀しそうな、そして怒った表情を浮かべていた。その後ろで影がおろおろと三人を交互に見つめている。

「お前等。二人だけで捜しに行くなら勝手に行けばいい。けどな、これは遊びじゃねぇんだぞ?ただの人間のお前等に

 何ができる?」

「それは―――」

「よく聞け。この手紙の差出人は分からねぇ。影も見た事ない奴だって言ってる。手紙にも名前は書いてねぇ。だが、一

 つだけ分かっているのは、過去にPOP’NPARTYに出た事のある奴だって事だ」

 あれほど走りたそうにしていた足が力を失い、ぺたんとその場に座り込む。心なしか影が安心したかのように見えた。

「―――もう一つ云える。犯人は字の下手な男だよ」

「いや、それは分からねぇ」

「どうして?」

「字を下手に書くなんて簡単だろ?左手で書いてみたり、ただがむしゃらに書いてみたり。一人称だってこの時だけ変

 えればどうする?たとえばこうだ。俺が匿名希望で字を丁寧に書いて女言葉でお前等に手紙をよこせばどうだ?そ

 れが俺だって分かるか?」

「―――分からない」

「だろ?つまりはそういう意味さ」

 手紙を指でつまみ、文字を見直す。

「俺的にはポッパーから犯罪者は出したくない。それはずっと司会をしていたお前達も同じだろ?」

「まぁ、そうだけど」

「あっ、でもこれは?もしかしたら誰かに聞いたとか、噂で聞いたとか言う一般人が自分も出たいと思ってこんな事をし

 ちゃったとかは?」

「確率は低いが、絶対にありえないとも言えない」

 三人は顔を見合わせ、いくらなんでも犯人を探し出すには難しい現実に嘆息をついた。

「どうする?」

「ま。手始めとして誰か犯人でも見てないか捜すか」

「あ、ねぇ。スーツに頼んじゃ駄目なの?」

「今さっき犯罪者を出したくねぇって行っただろ?」

「もし犯人が一般人でも?」

「POP’NPARTYが世間一般に広まるのは個人的に嫌なんだが」

「あ、そうだったね」

 再度沈黙。

 三人に影も混じって頭を抱えていると、思い立ったかのようにMZDが動いた。

「どうしたの?」

「さっき言っただろ?このでかい窓を割ったんだ。誰か一人ぐらい気付いててもおかしくねぇだろ?」

「あ、そっか。聞き込みするんだ」

「そういうこった」

「それならあたし達でも手伝えそう」

「うんっ」

「なら。これからは別行動だな」

 立ち上がり、影に合図を送る。

「お互いなんでもいいから情報が入り次第連絡を入れる事。それと、お前等だけで無茶しようなんて考えるんじゃねぇ

 ぞ。分かってるか?」

「分かってるって」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

 こっちの二人もやっと冷たい床から尻を離して耳をぴくぴく動かす。

「まかして。あたし達がすっごい情報仕入れてあげるから♪」

「ま。期待してねぇよ」

「酷いっ。そんな事言われると、逆に頑張っちゃうんだからっ」

「そうそうっ」

 靴の爪先で床を数回叩き、風を遮っていたドアを開ける。外にはいつもと変わらない蒼い空。だが、その下にある現

実は昨日と同じではない。

『じゃあ、後でねぇ♪』

 騒がしい騒音だけを残してドアが閉まる。

「―――あいつ等は」

 聞こえてくるのは吹き込んでくる隙間風の音だけ。

「行くぞ、影」

 MZDの言葉に影が出発の準備をする。戸締りを確認し、最後にミミニャミ達が出て行ったドアに鍵をする。

 残されたデザイン用紙を手に取る。サングラス越しに見下ろし、誰にも悟られないように奥歯を噛み締める。

(悪ぃ……お前ら)

 準備が済んだ影は反応の鈍いMZDの肩を数回突っついた。

「あ、あぁ。悪ぃ。じゃあ行くか」

 少し元気なさげな主人に眉をひそめながらも首を縦に振る。

 パチンという音と共に、白い紙が宙を舞った。


長くなるのが俺の悪い癖。

はい、また長編です。

また続きものです。

つか、本当は同人誌用の小説やったんやけど―――ま、いよ、これ。

しかぁし、真剣にこないに長くなるとは思ってもみとらんだわ、うん。

さてはて誘拐された天麩羅兄弟は?

誘拐犯は?

ミミニャミは?

MZDは?

そして目撃者は?

目指せオールキャラ(半分嘘)で頑張りやす。

03.2.2

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