「ねぇ、MZD?」

 そう問いかけてきたのは、本日彼氏のタイマーと口喧嘩をして愚痴りにきたニャミ。

 無視しようかと新聞にそのまま視線を落としたままでいたが、だんだん背後の声が五月蝿くなるのに負けて、

俺は仕方がなく顔をあげる事にした。

「なんだ?」

「いやっ。本当にどうでもいい事なんだけど」

「じゃあ聞くな、言うな。そのままお前の胸の中にとどめておけ」

「うわっ、酷っ」

「どうでもいい事だって言っただろ?お前。だから、俺はそんなどうでもいい事を聞く暇を、新聞読む時間に費や

 したいんだ。どうだ?何か理不尽な事でも言ったか?」

「―――ケチ」

「ケチで結構」

 会話は、そこで一旦途切れた。

 基本的に新聞は朝届いてから見るものだが、今日はどたばた仕事をしていたせいで―――なんせったって、

神だし?―――今の今までお預けになっていた。ちなみに今の時刻、昼の二時過ぎ。

 押しかけ愚痴こぼし女は静かにソファで転がっている。そして、暇になると勝手にテレビをつけてはすぐに消

す。まぁ、こんな時間なんだから面白い番組が放送されているわけなどない。あるといえば、つまらないワイド

ショーや、テレビショッピングぐらいだ。

「―――ねぇ」

 また懲りずに喋りかけてくる。

「ねぇ。ねぇ。ねぇってば」

「ったく―――なんだ?」

 新聞も読み終わって、こればかりは逃げられないと諦めて返事を返す。

「下らない事言っていい?」

「あのなぁ……」

「もう新聞読み終わったからいいでしょ?」

「……なんだ」

 これ以上後回しにするのも面倒だと思い、しぶしぶ問いかける。

 俺達は机をはさんで、ソファに座っている。ニャミは二人掛けのソファの上で胡坐をかくと、本当に下らない事

を聞いてきた。

「えっと。MZDって神だよね?」

「今になって何言い出すんだ?」

「あはは。ちょっと確認確認。それでさ。物には色々な名前があるけど、それをつけたのって、やっぱりMZDだっ

 たりするわけ?」

「はぁ?」

 はっきり言って、ワケが分からない。

 たたんだ新聞を前の机に放り投げると、俺は足をその上に置いて腕を組んだ。

「じゃあ何だ?お前の『ニャミ』って名前も、実は俺がつけたとでも思ってるのか?」

「へ?あ?そ、そうか。いや、だけど……え?」

「本当に下らない事聞きやがって」

 ため息もいつもより重い。

「それにしても、なんでそんな事、今になって聞こうと思ったんだ?」

「え?あ。いやね」

 そう言って、こいつは新聞の下につぶされたチラシの山を引きずり出す。そして、その中から何かを探し出すと、

それを俺の目の前に突き出して見せた。これは―――電気屋の、チラシ?

「これがどうしたんだ?」

「いや。MDって、あるじゃない?」

「そりゃ、まぁ。あるな」

 知らないわけがない。MDとは、カセット、CDと続いて次に出た録音ソフトとでもいったらいいだろうか。薄く、小

さく、音も綺麗という事もあっては、今一番普及されているといっても過言ではない。

「あれって」

 考えてみれば、どうしてこいつが来た時に有無を言わせず帰れとつき返さなかったのだろう。今になって後悔し

ても遅いと分かっているが、後悔せずにはいられなかった。そして、どうしてこいつはこんなにもバカで、アホで、

どーしようもなく下らない事ばかり思いつくのだろうと胸の中で問いかける。

「MZDと名前、似てない?」

「いてまえ。このバカ」

 


 はいはいはいはい。

 何がしたいんでしょう。

 はい、俺も分かっておりません。

 てか、MDとMZDって、『Z』があるかないかだけ。

 ……莫迦は俺です、神(汗)。

 てかね。

 てかね、てかね。

 俺っち、MDよりカセット派やもんでネタが浮かばず。

 ―――よいやん、カセットでも。

 てか、これ書いとって、この二人のコンビってちとばかりよいなぁとは思ってしまいました。

 いや、慰安旅行小説でもわりとはまってたんやけどね。

 ほら、最後のあのシーン。

 んー……気が向いたら、なんか書こうかいな?

 Mニャミですか?

 うわっ、外道な。

 

 03.11.18