ここでは系外惑星のデータを処理することで見えてくるさまざまな特徴を示します。
Scientific Americanの2015年3月号(March 2015)に系外惑星系の持つ惑星数とそれらの惑星の離心率との関係を示した記事が載っていました。
その記事では惑星をたくさん持つ惑星系のほうが、惑星の離心率が小さくなる、すなわち円軌道に近い軌道を持つ惑星が多くなる傾向が見られる事が示されています。
そこでThe Extrasolar Planets EncyclopaediaのCatalogの系外惑星データを使って惑星系の惑星数とその離心率の関係を調べてみました。
惑星数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
1011 | 189 | 62 | 26 | 6 | 9 | 2 | 1 |
左の図がその結果です。
横軸が惑星系の持つ惑星数で、縦軸が離心率になっています。
その惑星系で最小の離心率と最大の離心率をプロットしてあります。惑星数が1つだけの場合は、その惑星の離心率を一つプロットします。
惑星数が2の惑星系の場合は、例えばその二つの惑星の離心率が0.1と0.5の場合、横軸が2で縦軸が0.1と0.5のところに印を打つという風にして作成したグラフになっています。
確かに多くの惑星を持つ惑星系のほうが、離心率が小さくなる傾向が見られますが、多数の惑星を持つ惑星系の方が、数が少なく4個以上の惑星系での最大離心率も0.5以上のものが見られますのでこれだけでは「惑星をたくさん持つ惑星系のほうが、惑星の離心率が小さくなる」と断言するのは難しそうです。
更なるデータの蓄積が待たれます。
このグラフは2021年1月1日時点のデータを元にしています。なお惑星数8の場合のプロットは縦軸と重なって分かり難いですが0.01のところに点(十字)が打たれています。
図の下の表は、このグラフを作成したデータで惑星数とその数の惑星を持つ惑星系の個数を表したものです。
The Extrasolar Planets Encyclopaediaから取得したデータには、もっと多数の惑星が掲載されていますが有効な離心率をもつ惑星のみを使うとこの表のような結果となります。
離心率と惑星系の惑星数と同じデータを使って惑星の質量分布を出してみました。
左図がその結果です。
横軸の「n倍未満」は地球質量のn倍未満をあらわします。つまり例えば「20倍未満」のところには地球の2倍以上20倍未満の質量を持つ惑星の数を棒グラフにして表示しています。
2倍未満には60個、20倍未満には474個、100倍未満には240個、600倍未満倍未満には646個、3000倍未満には458個、そして3000倍以上には316個の惑星があります。
ちなみにスーパーアースは地球の数倍から10倍程度の質量を持つ惑星と考えられるので、このグラフの横軸の20倍未満に入ります。
また太陽系の惑星では、天王星は地球の14.5倍、海王星は約17倍、土星は95倍、木星は約318倍の質量を持っています。
ですから、このグラフで横軸の3000倍以上のところは木星質量の10倍程度以上の巨大惑星に対応しています。
2021年1月1日時点のデータで作成したグラフを表示しています。傾向は依然と変わっておらず地球質量の100倍以上600倍未満のところにピークが来ています。